陳建仁副総統が26日午前、「2016年オーストロネシア語族国際会議(International Austronesian Conference)」の開幕式に出席した。台湾の先住民族はオーストロネシア語族に属する。今年10月4日、オーストラリアで考古人類学が専門のMatthew Spriggs教授は、総合科学雑誌「ネイチャー」で研究成果を発表、太平洋の島国、バヌアツとトンガ王国に最も早く住み着いたのは台湾からやってきた人たちだと指摘し、学術界で長く語られてきた、「台湾はオーストロネシア語族のふるさとである」という言い方を改めて証明した。このつながりに基づき、先住民族委員会(日本の省レベルに相当)は2002年より毎年「オーストロネシア語族国際会議」を開催、オーストロネシア語族及び世界各地の先住民族を台湾に招き、気候変動、食料安全保障、集落の運営、民族としての教育、民族による自治、土地の保全などの議題について、先住民族の角度から様々な視点と解決への道を提示している。
今年の会議のテーマは、「和解と共生から持続可能な国へ」。和解の最初のレベルは国と先住民族との和解である。今年8月1日、蔡英文総統は政府を代表し、これまで政府が法律に従わず、積極的な取り組みをしてこなかったことで先住民族を差別される境遇に追い込んできたとして先住民族に対して謝罪した。
和解の第二のレベルは大自然との和解。現代国家の行政が介入すること、そして行政が自然に取って代わることがしばしば生態系の破壊と環境悪化を引き起こし、時には災害レベルの影響をもたらすこともある。このため、どのようにして先住民族の伝統と知恵を尊重し、それぞれの土地が本来持つ管理体系を回復し、再び大自然と調和した共存を実現するか、そしてさらには持続可能な発展を実現していくかが今、台湾が直面する重大な課題となっている。これは今年の会議で検討する主要議題の一つでもある。
また、学術的なリンク以外に、台湾は「新南向政策」も推進中。その目的は、台湾とASEAN(東南アジア諸国連合)諸国、南アジア、ニュージーランド並びにオーストラリアなどとの経済貿易、科学技術、文化など様々な面での連結を促進し、資源と人材、市場を共有することでウィンウィンの新たな協力モデルを生み出し、「経済共同体意識」を確立することにある。
オーストロネシア語族と台湾が融合した「特殊な外交関係」の発展は、理論と実際の血縁関係、そして文化が基礎となる必要がある。政府と先住民族の民間団体による二者間及び多角的な交流、そして公式・非公式の交流活動を通じてオーストロネシア語系の国々との間で実質的な交流を徐々に確立していくことではじめて、互いの協力関係により多くの機会がもたらされるはずである。
今年は中華民国政府に先住民族委員会が設けられて20年の節目の年で、台湾が先住民族の「移行期の正義」に取りかかった歴史的な1年でもある。この会議を通じて、各国からの参会者が台湾並びに台湾の先住民族に対する理解を深め、さらには台湾の先住民族及び世界のオーストロネシア語族の間の国境を越えた協力と結びつきが促進され、確立されることを希望したい。
この会議には先住民族委員会の夷将・抜路児(Icyang‧Parod)主任委員(大臣)、鍾興華副主任委員(事務次官に相当)、谷辣斯・尤達卡( Kolas Yotaka)立法委員(国会議員)、そして各国の駐中華民国(台湾)使節の代表(大使などに相当)らが参加した。