2025/05/29

Taiwan Today

外交

政府、Uberは法規制の順守と企業責任を徹底すべき

2017/02/13
交通部(日本の国交省に類似)はこのほど、自動車配車サービス業者の米Uber(ウーバー)に対し、法に基づき業務停止命令を行なった。これを受けて台湾のUberドライバーによる組織「Uber司機聯盟」が10日、交通部周辺で大規模なデモ活動を行った。手前はUberの合法化を訴えるUberドライバーの車両。奥の黄色い車両は台湾のタクシー。(中央社)
交通部(日本の国交省に類似)はこのほど、自動車配車サービス業者の米Uber(ウーバー)に対し、法に基づき業務停止命令を行なった。これを受けて台湾のUberドライバーによる組織「Uber司機聯盟」が、交通部周辺で大規模なデモ活動を行った。
 
交通部は10日、「公共輸送は国民の基本的な交通の安全と消費権益に関わるもので、政府が適切に公権力をもって介入し、市場の秩序と公共の利益を維持する必要がある。このため公共輸送事業は、世界の多くの国々で国が管理・規制している事業とされている。Uberも台湾で業務を行うためには、他のすべての企業と同様、『管理・規制を受け、税金を納め、保険に加入する』という最低条件を守り、法律に基づいて業務を行う必要がある」と指摘した。また、「スタートアップ」や「シェアリングエコノミー」といった名称を隠れ蓑にして自動車運輸サービス業に従事するという違法行為を厳格な態度で取り締まることは、政府の変わることのない立場と職責だと強調した。
 
交通部はこれまで何度もUberと意思疎通を図り、非合法な行為を引き続き取り締まる覚悟を伝えていた。しかし、Uberは改善に取り組まなかったばかりか、引き続き新たなドライバーを募集して違法なサービスを提供し続けており、その期間中は企業として果たすべき責任を回避してきた。また、違法ドライバーに科せられる罰金を肩代わりするなどして、ドライバーが公権力に立ち向かうよう仕向けており、その手法は到底容認できないものであった。交通部は、Uberの台湾での業務停止命令に対して、台湾のUberドライバーが大きなショックを受けたことに理解を示しながらも、これもUberが最後までドライバーの権益保護に目を向けようとしなかったことの表れであり、Uberのドライバーはこれを合法的な輸送サービスを提供するためのきっかけにして欲しいと述べている。
 
Uberは開業以来、多くの国々で様々な訴訟を起こしている。その争点は、政府の管理・監督、ドライバーの労働権益、安全保障、不公平な競争など多岐に及ぶ。このためここ数年、各国におけるUberのサービスに大きな進展は見られない。また、Uberによる配車業務が合法化されている地域(例えば米カリフォルニア州など)でも、Uberに関わる労使紛争はいまでも後を絶たない。
 
交通部では、Uberの実際の運営と法規の間のこうした衝突は、つまるところUberそのものの経営戦略を原因とするものだと考えている。Uberは台湾のUberドライバーの権益問題を直視し、Uberの配車サービスを利用するドライバーに対する企業責任を徹底するべきである。
 
このほか、Uberのドライバーは、レンタカーを借りてUber業務を行うことは合法であると主張している。これに対して交通部は、「公路法(=道路交通法)」と「汽車運輸業管理規則(=自動車運送事業に関する管理規則)」に基づけば、小型自動車のレンタル業者とは、小型自動車を個人利用のために第三者に貸し出す業者を指している。借受人の需要に応じて、ドライバーを提供することができるが、借受人とレンタル業者は、レンタル契約あるいは貸渡証の存在を前提としてサービスを提供する必要がある。レンタカーを利用した一部のドライバーがUberのプラットフォームを利用して乗客を探し、タクシーと同様に料金を徴収することは、明らかに前掲の法律の規定に違反しており、監理機関が法律を執行するに当たり、そもそもそのようなあいまいな空間は存在していない。
 
交通部はすでに、タクシーの運賃体系の多元化や、タクシーの色を黄色に限定しないことなどを含む「タクシー運営の多元化政策」に積極的に取り組んでおり、適度な規制緩和を進めながら、タクシー業者がインターネット時代の競争激化に対応できるよう、より多様なサービスを提供することを奨励している。台湾南部・高雄市では2016年末、スマートフォンのアプリケーションを通じたタクシー配車サービスを取り入れた「多元化タクシー」が初めて導入された。現在、台湾北部の台北市や桃園市でも同様の「多元化タクシー」導入の準備が進められている。これら「多元化タクシー」の業者はすでにドライバーの募集を開始しており、交通部ではUberの元ドライバーに対し、ぜひこうした業者に問い合わせて欲しいと呼びかけている。交通部では、Uberの元ドライバーが合法的な行為によって、台湾のタクシー業界のサービス向上のために力を貸してくれるよう期待を寄せている。
 

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