衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)は1日、台湾の6つの医療機関によるナショナル医療チームを、新南向政策の対象国6か国に派遣する考えを明らかにした。これらの国々の医療・公衆衛生分野の人材を育成するための台湾医療センターを設置する。新南向政策とは、東南アジア、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアとの幅広い関係強化を目指すもの。
衛生福利部の陳時中部長(=大臣)は1日に開催した「新南向医衛合作及産業鏈発展」重点政策説明会において、台湾の医療チームを通して東南アジア諸国の医療・公衆衛生分野でのニーズを理解し、台湾の医療資源を活用し、感染症予防のためのネットワークを確立し、地域の健康や感染症の予防においてできる限りの貢献をしたいと抱負を語った。
行政院の鄧振中政務委員(=無任所大臣)は、「医療・公衆衛生分野における台湾の実力は、台湾が持つ最大のソフトパワーでもある」と指摘。台湾の医療チームは長年、台湾人のヘルスケアに尽くしてきただけでなく、東南アジア地域でも様々な努力をしてきたが、いままで組織的、系統的な動きが欠如していたと説明した。
対象となるのは新南向政策の重点国家であるインドネシア、インド、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシアの6カ国。台湾の栄民総医院(台北、台中、高雄)がベトナムを、花蓮慈済医院(台湾東部・花蓮県)がフィリピンを、国立成功大学医学院附設医院(台湾南部・台南市)がインドを、彰化基督教医院(台湾中部・彰化県)がタイを、秀伝医療財団法人彰浜秀伝紀念医院(彰化県)がマレーシアを、国立台湾大学医学院附設医院(台湾北部・台北市)がインドネシアを担当。「1カ国1センター」方式で台湾の特色ある医療センターを設置する。
これらの医療センターは、医療・公衆衛生分野の人材育成、産業のマッチング、現地に進出する台湾人ビジネスマン及び家族の健康相談サービス、各国の文化にフレンドリーな医療環境作り、医療・公衆衛生関連の産業法規や市場調査、各種情報の取りまとめといった任務を担い、双方向的な協力によって医療産業の発展を促す。