2025/05/15

Taiwan Today

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台湾の医師、先天性の希少難病持つモンゴル人男児を治療

2018/11/22
三軍総医院は21日、希少疾患「先天性脛骨偽関節症」と診断されたモンゴル人男児の阿莫くん(9歳、写真手前)の手術に成功したことを明らかにした。三軍総医院は、阿莫くんの治療を18歳になるまで無償で行うことを決めた。(中央社)
三軍総医院は21日、記者会見を開き、先天性の希少難病に苦しむモンゴル人男児の手術に成功したことを明らかにした。
 
モンゴルからやってきた阿莫くんは現在9歳。生後4か月のときに転んで右足の脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)を骨折した。すぐに治療を受けたものの、5か月経過しても骨が接合しなかった。ネジやボルトで固定する手術を受けたが、感染症を発症し、成長に影響が出てしまった。2010年、2015年、2016年と4回の手術を受けたが状況は改善せず、左右の足の長さの差は15㎝になり、松葉杖に頼る生活を送っていた。
 
三軍総医院の医師団は今年9月にモンゴルのウランバートルを訪れ、ボランティア診療を行った。このことを知った阿莫くんの父親は、約70㎞も遠いところから、医師団が宿泊するホテルにやってきた。三軍総医院骨科部小児骨科の王誌謙医師は、阿莫くんの症状について先天性脛骨偽関節症であると診断した。希少な先天性疾患の一つであり、骨折しなければ特に問題がないが、一旦骨折すると治癒が難しい。発症率は約25万分の1とされ、台湾での発症率は年間約1例。モンゴルでは4~5年に新規患者1人が発見される程度で、現地の医師はほとんど治療の経験を持たない。
 
王誌謙医師によると、この病気は外傷性の骨折だと誤診されやすいため、一般の骨折と同じ固定方法による治療が施されるが、いつまでたっても骨が接合しないため、骨折を繰り返してしまう。また、手術を繰り返すうちに奇形、左右の足の長さの違い、足関節の硬化、足部疾患などの問題を引き起こすことが多い。
 
先天性脛骨偽関節症の原因はいまでもはっきりと分かっていないが、近年の研究論文によると、骨膜中の破骨細胞が過度に活発化することで、折れた骨が接合しないのではないかと指摘されている。このため三軍総医院の医療チームはまず、阿莫くんに破骨細胞の活性を抑えるビスホスホネートを注射投与し、それから外科手術を行うことにした。
 
三軍総医院は3Dプリント技術を使って阿莫くんの骨の模型を作り、それから手術のシミュレーションを行い、実際の手術によって伸縮性髄内釘とチタン合金板で骨折の位置を固定した。これは、骨を接合させると同時に、骨の成長に必要な骨端軟骨の機能を持たせるため。
 
三軍総医院は、阿莫くんの治療を18歳になるまで無償で行うことを決めた。阿莫くんは18歳までに4~5回台湾にやってきて診察を受ける必要がある。また、成長が止まるのを待ってから、今度は足の長さを整える手術を受けるという。
 
台湾での治療後、長く接合することがなかった骨が再び成長しているのを確認した阿莫くんの父親は、「まるで夢のようだ」と笑顔で話す。
 
足が治ったら友達とかけっこをしたいと話す阿莫くんは、「将来の夢が変わった」という。これまでは飛行機の整備士になるのが夢だったが、今回台湾にやってきてからは、大人になったら医師になりたいと考えるようになった。
 

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