人身取引に反対するローマ教皇フランシスコの呼び掛けに応じて、ローマ教皇庁は9日から11日まで関連の国際シンポジウムを開催している。台湾もこのシンポジウムに対する支援を行っており、協賛として協力するほか、財団法人励馨社会福利事業基金会(The Garden of Hope Foundation)の執行長である紀恵容さんがシンポジウムに出席して台湾の実例を報告する。
紀恵容さんは現地時間10日、このシンポジウムで「解開剥削錬:台湾防制人口販運経験分享(=搾取の鎖を解く:台湾の人身取引対策の経験共有)」と題する報告を発表する。このシンポジウムは、ローマ教皇庁の移住・移動者司牧評議会が主催するもの。移住・移動者司牧評議会は教皇フランシスコの直属の機関。
中華民国(台湾)の李世明駐バチカン大使はシンポジウム開会の挨拶で、台湾がこれまで人身取引の根絶に向けて努力してきたこと、2006年に「防制人口販運行動計画(=人身取引対策行動計画)」を策定し、予防、保護、取締り、パートナーシップの構築などの方法で実際の行動に移した結果、2009年以降、米国務省が発表する「人身売買報告書」では9年連続で最高評価「ティア1」に格付けされていることなどを紹介した。
蔡英文総統は今年1月、ローマ教皇フランシスコの2019年「世界平和の日」メッセージに呼応した書簡を発表した。蔡総統は書簡の中で、台湾がすでに18カ国と人身取引対策協定を結んでいることに言及。積極的にグローバルな課題の解決に取り組み、世界と足並みをそろえようとする台湾の決意を示した。
また、台湾の財団法人励馨社会福利事業基金会は弱い立場にある女性や子どもの支援に優れた貢献をしており、人身取引、性的暴行、性的搾取、DV(ドメスティック・バイオレンス)をなくす運動にも力を入れている。
財団法人励馨社会福利事業基金会は創立以来、社会を変え、女性や子どもに優しい環境を作るために取り組んでいる。2015年にはスイスの非営利団体Global Genevaから、世界の非政府団体(NGOs)トップ500で16位に選ばれたことがある。100位以内にランクインした台湾唯一の非政府団体となった。
ローマ教皇庁の移住・移動者司牧評議会のMicheal Czerny副秘書長(under-secretary)は、在バチカン中華民国大使館が長期にわたって難民救助を支援してくれていることに感謝すると共に、最も強く印象に残っているものとして、台湾で製造された太陽光発電ラジオを挙げた。これはスマホの充電や照明機能を備えたもので、台湾が提供してくれたテクノロジーの産物が、難民たちの生活の質を大きく向上させたと評価した。