中米に位置する国交樹立国、ホンジュラス共和国に派遣されている第18期「外交替代役」の葉釈璟さん(25歳)がこのほど、ホンジュラス産アボカドの対欧米輸出の可能性について分析したレポートを発表し、ホンジュラス大統領の称賛を受けた。「外交替代役」とは、国交樹立国に派遣されて勤務することで兵役の代替とする男子のこと。任地では農業や園芸、医療など、自身の専門分野を活かした任務を担当し、台湾の海外人道支援活動の重要な一翼を担う。
このレポートは、このほどホンジュラスで開催された第64回「Programa Cooperativo Centroamericano para el Mejoramiento de Cultivos y Animales(PCCMCA)」で発表された。葉釈璟さんは国立屏東科技大学の修士課程で農業のビジネスマネジメントを学んだ。大学院在学中は市場占有率を利用して台湾産レモンの輸出競争力を調査し、分析レポートをまとめたことがある。ホンジュラス赴任後、現地のアボカド産業に関する関連のデータや分析、特定の地域で実施されている輸入規制などの調査が不足していることを発見。このため葉釈璟さんはこの分野を調査することで、ホンジュラスのアボカド産業の発展を助けたいと考えた。
葉釈璟さんは調査の過程で、ホンジュラスのアボカドが輸出戦略を構築する段階であることに気付いた。現在世界のアボカドの主要輸入国は欧米に集中している。このため葉釈璟さんはまず、ホンジュラスのアボカド産業の現状について調査することから始めた。内容は貿易の概況、作付けのコスト、卸価格、害虫の種類などで、その上でEU(欧州連合)や米国市場に輸出する方法について調査し、欧米諸国が実施する農産品輸入規制(害虫検疫規制、残留農薬検査)などをまとめた。最後にホンジュラス産アボカドの輸出戦略についても言及し、投資会社やホンジュラスの政府機関が、今後の投資や国のアボカド産業発展の政策を決定する際の参考にできるようにした。
葉釈璟さんはレポート執筆の過程で、ホンジュラスの農業政策を担う機関では関連の調査が明らかに不足し、農産品のデータについても台湾ほど十分ではないことを発見した。このため、関連の情報を自分で集め、整理しなければならなかった。まずは世界の有害生物をまとめたデータベースの中から、ホンジュラスのあらゆる病害虫リストを探し出し、そこからどれがアボカドの病害虫となるかを一つ一つチェックし、ホンジュラスのアボカドにとっての有害生物をまとめた。それからまとめたリストを、EUや米国の害虫検疫規制リストと照らし合わせ、ホンジュラスにおけるアボカドの病害虫のうち、どれが欧米諸国の規制対象となっているものかを理解した。
葉釈璟さんが発表したレポートは、ホンジュラスの農業政策を担当する機関の職員だけでなく、この会議に出席していたホンジュラスのフアン・オルランド・エルナンデス大統領も称賛。この内容をホンジュラス産アボカドの輸出戦略の参考とする考えを示している。