インターポール(ICPO=国際刑事警察機構)第88回総会が18日に終了した。中華民国(台湾)は今年も政治的要素のため、総会へのオブザーバー参加がかなわなかったものの、各国から例年以上に台湾支持の発言を得ることができた。これは、インターポール参加を目指す台湾の訴えが正当で合理的なものであることを十分に証明するものであり、インターポールが政治的考慮によって台湾を世界の治安ネットワークから排除することについて、各国の不満が高まっていることを示すものだ。中華民国外交部(日本の外務省に相当)は、国交樹立国及び理念の近い国々がその専門的立場にのっとり、道徳心と勇気をもって台湾のために正義の声を上げてくれたことに感謝すると共に、これからも「専門、実務、貢献」の原則にのっとり、内政部等の関連省庁と緊密に連携を取り、国際社会からの支持を勝ち取りたいと考えている。
外交部が19日に発表したニュースリリース全文は以下のとおり。
中華民国の国交樹立国が台湾のインターポール参加について示したゆるぎない態度は、我々を大変感動させるものであった。今年度はベリーズ、エスワティニ王国、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、マーシャル諸島、パラグアイ、ナウル、セントクリストファー・ネイビス連邦、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン諸島など国交樹立国11か国が、インターポールの金鍾陽(キム・ジョンヤン)総裁に対して書簡を送り、台湾をオブザーバーの身分でインターポール総会に招待するよう求めた。ベリーズ、グアテマラ、マーシャル諸島、ナウル、パラオ、ツバル、セントクリストファー・ネイビス連邦、セントルシアの8カ国の警察当局高官らはさらに動画を作成し、台湾のインターポール参加を訴えた。ベリーズ、エスワティニ王国、グアテマラ、ホンジュラス、パラグアイ、セントクリストファー・ネイビス連邦の6か国の代表はまた、インターポール総会でも台湾支持の立場を明らかにし、世界の治安ネットワークに空白を作らないためにも、台湾をインターポールに参加させるべきだと主張した。インターポールの総会で台湾支持の声がこれほど高まったのは、台湾が1984年にインターポールからの脱退を余儀なくされて以来、初めてのことであり、台湾を取り巻く不公平な待遇に対してインターポールのコミュニティが理解を深め、直視するのに役立った。
国交樹立国だけでなく、台湾と近い理念を持つ国々による台湾支持の声も、例年になく大きなものとなり、その他の国々に対する模範的効果が生まれた。米国務省東アジア・太平洋局担当のパトリック・マーフィー氏、国際機構局のジョナサン・ムーア氏、米国在台湾協会台北事務所(AIT/T、台湾における米国大使館に相当)のウィリアム・ブレント・クリステンセン所長及びAIT/T報道官のAmanda Mansour女史らが公の場で、台湾のインターポール参加を強く支持する発言を行った。このほか、米国、日本、英国、ドイツ、オーストラリアの5か国が台湾に置く在外公館が、国交樹立国の関係者が製作した動画や中華民国内政部警政署刑事警察局の黄明昭局長の投稿をそれぞれの公式フェイスブックページでシェアするなどして、台湾支持の立場を表明した。米国及びドイツが台湾に置く在外公館はさらに、「法執行の政治問題化は犯罪を助長するだけだ」として強く批判した。
また、各国の立法府を見てみると、合計14カ国の国会議員約140名が、さまざまな方法で台湾支持の立場を表明した。米連邦下院は今年5月、「台湾保証法案(Taiwan Assurance Act of 2019)」を賛成414票、反対ゼロの圧倒的多数で可決。米国の既定の政策は、台湾がインターポールを含む政府間国際組織に参加できるよう支持するものであることを確認した。米連邦下院外交委員会アジア太平洋小委員会のメンバーであるジョン・カーティス氏を含む47名の超党派議員は今年9月、米法務相と国務相宛てに書簡を出し、具体的行動によって台湾のインターポール参加実現に協力するよう行政府に求めた。このほか、英国国会の親台湾派グループの共同代表者、庶民院議員のナイジェル・エバンズ氏と貴族院議員のデニス・ロバート・デイヴィッド・ローガン氏が合同声明を発表し、インターポールは今年の年次総会に台湾のオブザーバー参加を認めるべきだと呼びかけた。また、チリ、ドイツ、ホンジュラス、ハンガリー、イタリア、日本、韓国、マーシャル諸島、メキシコ、オランダ、スペイン、トルコなど12カ国の国会議員が初めて書簡、国会での決議、声明の発表等の方法によって、台湾のインターポール参加支持を求めた。
台湾のインターポール参加への訴えと緊急性を国際社会がより理解できるよう、内政部警政署刑事警察局の黄明昭局長は『打撃跨国犯罪、不能沒有台湾:一個更安全的世界-台湾可提供協助(=国際犯罪対策に台湾は欠かせず:安全な世界のために台湾がお手伝いできます)』と題する文章を、世界各国49の主要メディアに寄稿した。また、29本の関連の報道により、台湾の専門的且つ実務的な訴えを広く国際社会に伝えた。
今年のインターポール総会で中国の代表は、「台湾は中国の不可分な領土の一部であり、台湾にはオブザーバーの身分でインターポール総会に参加する権利はなく、台湾からインターポールに対する連絡や訴えは、いずれも北京当局を通して行うことができる」などと述べた。外交部はこれを強く批判すると共に、故意に国際世論に誤ったイメージを与えようとする中国の悪列な手法を譴責する。台湾は中華人民共和国の一部ではない。台湾が中国政府の管轄下にないことは、まぎれもない事実である。民主主義のプロセスによって選ばれた台湾の政府のみが、国際社会において台湾に住む2,300万人を代表する権利を持つのである。ゆえに、台湾とインターポールとの間について、中国は関与する権利もなければ、干渉あるいは介入する立場にもないのである。
インターポールの任務は「より安全な世界(a safer world)」を構築することにあり、いかなる警察当局も排除すべきではない。台湾は国際社会の重要な利害関係者(ステークホルダー)として、インターポールに貢献する強い意欲と能力を持っている。事務総長に再選されたユルゲン・ストック氏が今年の総会の祝辞で述べたように、治安を取り巻く環境が変化する中、強大且つ中立的なインターポールの存在は極めて重要になっている。外交部は、インターポールがあらゆる警察当局間の助け合いを深めるという創設趣旨に立ち戻り、インターポール憲章第三条(=機構は、政治的、軍事的、宗教的又は人種的性格を持ついかなる干渉又は活動もしてはならない)の原則を守り、台湾のインターポール参加を排除するといった政治的な行為を停止するよう再度呼びかける。そして、インターポールが適切な措置を講じ、台湾がその会議、メカニズム、訓練、活動に完全に参加できるようにし、且つインターポールの「I-24/7システム(INTERPOL Global Communications System 24/7)」やパスポート盗難・紛失管理(SLTD)データベースを含む17のデータベースにアクセスできるようにすべきである。そうしてこそ、世界の治安ネットワークから空白地帯を失くすことができるからである。