国際キリスト教海事協会(ICMA)は21日から25日まで、台湾南部・高雄市にて第11回世界会議を開催している。国際カリタスの代表を務めるルイス・アントニオ・タグレ枢機卿も招きを受けて出席している。台湾はこの会議で、カトリック教やキリスト教会と船員の人権擁護分野で展開する協力や交流の具体的成果をアピールしたい考え。
ICMAは1969年に創設され、今年で50周年を迎える。世界各地のカトリック教やキリスト教会あるいは団体がメンバーとなっている。長年各国の船員の福祉事業に取り組み、船員や漁民の権利保障の分野で極めて大きな影響力を持つ。ICMAはまた、各国の船員や漁民たちに対し、国籍、信仰、性別、種族の隔てなく支援の手を差し伸べ、精神的サポートを提供している。
中華民国政府は、外国人船員の権益と労働環境の改善に力を入れており、すでにいくつかの関連の法令を実施し、国際社会から高い評価を得ている。また、欧州連合(EU)とは近年、「台湾EU人権コンサルテーション」を開催。台湾で働く外国人労働者や外国人船員の権益問題の解決に取り組んでいる。今年5月に台湾南部・高雄市で開催された「漁工工作及生活条件座談会(=漁業従事者の業務と生活条件に関するワークショップ)」では、欧州経貿弁事処(EETO)のMadeleine Majorenko処長(当時)が「台湾は外国人船員の権益保護等の問題を速やかに解決している。EUは外国人船員の人権保護の促進において、台湾のことを近い理念を持つパートナーだと考えている」と指摘した。今年7月に台湾の政府が開催した「人身売買防止国際ワークショップ」では、人身販売の議題について深く掘り下げると同時に、いかにして外国人船員の権益保護を実現すべきかが議論された。
21日に行われたICMAの開会式では、ローマ・カトリック教会の教皇フランシスコによる祝賀メッセージ動画が上映された。また、陳建仁副総統が祝辞を述べ、中華民国政府はローマ教皇フランシスコの慈悲の精神を発揮し、漁民たちに最上級のケアを施したいと抱負を述べた。陳副総統はまた、中華民国政府の高官の一員として、今後も具体的な行動によって、ローマ教皇フランシスコの理念を実現し、ローマ教皇庁のために安らぎと喜び、社会正義と博愛の心を世界のあらゆる片隅に届けられるよう協力していきたいと述べた。また、政府が船員たちにとっての後ろ盾となり、船員たちの心の声に耳を傾け、その権益保護に全力を尽くすことを約束した。さらに、船員たちに必要な協力を提供することは、政府の職責であると述べた。
世界会議には世界40か国・地域から、200名余りの漁港代表者が参加し、世界各国の船員や漁民たちの権益保護について議論している。