行政院(=内閣)の蘇貞昌院長(=首相)らは16日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するために一致団結し、わずか45日間で92台のマスク生産設備を完成させた台湾の工作機械メーカーなどに感謝する「工具機口罩国家隊感恩会」に出席した。蘇院長は「台湾が新型コロナウイルスの衝撃に直面した早い段階で、困難を苦にせず身を乗り出し、マスクの生産設備の製造に協力してくれた。あなた方がいたから、我々の安全が守られた」として謝意を示した。以下は蘇院長の挨拶の概要。
★★★★
新型コロナウイルスは世界各地に衝撃を与えている。現在までに世界の感染者は1,300万人を超え、60万人近くが亡くなった。台湾は「乱世中的福地(=乱世における幸運な場所)」と言える。それは第一にマスク政策がうまくいっているからだ。台湾は早い段階でマスクの輸出を禁止した。マスクが我々の命を守るものになると知っていたからだ。輸出の禁止だけでなく、自分たちでマスクを生産しなければならないと考えた。経済部(日本の経産省に相当)の沈栄津部長(=大臣。現在は行政院の副院長)や、台湾区工具機暨零組件工業同業公会(Taiwan Machine Tool & Accessory Builders'Association。工作機械やその部品メーカーによる同業者組合)の許文憲理事長、同公会のメンバーらが早い段階で、利害関係を超越して国家のために立ち上がってくれた。彼らは工場で昼も夜もなく働き、しかも、「ナショナルチーム」に加われたことを誇りに感じていた。これは我々に「あなた方がいたから、我々の安全が守られた」と実感させた。これは一人の台湾人としての誇りであり、「同舟一命(=同じ船に乗り合わせ、命を委ねた仲間)」のような感覚だ。
台湾は小さいが、台湾で製造される工作機械は世界でも高いシェアを誇る。台湾の工作機械メーカーは本当に素晴らしく、台湾が困難に直面していたころ、これらメーカーの努力と協力によって、本来なら半年は必要とされていたマスクの生産設備60台を25日で完成させた。また、45日間で92台を完成させた。これにより台湾のマスク生産能力は1日188万枚当たりから2,000万枚へと飛躍的に増えた。台湾の住民は14日ごとにマスク9枚を購入できるようになり、台湾の新型コロナウイルス感染拡大は収束に向かった。台湾の工作機械メーカーがソフト・ハードの両面で結束してくれたからこそ、台湾は持ちこたえることが出来たのだ。
こうした業者たちの努力があって、台湾は新型コロナウイルスの危機から逃れることが出来た。台湾の人々は、あなたがた英雄のことを覚えているだろう。政府はあなた方のことを決して忘れないだろう。蔡英文総統は台湾が、世界という舞台で引き続き邁進できるよう期待している。行政院も、皆さんと一緒に努力を続けたいと考えている。台湾は「乱世中的福地(=乱世における幸運な場所)」であるだけではない。世界で最も団結・協力し、平和を愛し、能力と善意を持った国だ。台湾は工作機械が作れるだけではない。いまではホワイトハウスの職員まで台湾で生産されたマスクを着用している。そのことからも、台湾が世界に欠かせない、最も美しく、尊敬され、評価されるに値する国であることが分かる。「ナショナルチーム」の一員として、皆さんが引き続き国のために努力されることを期待している。
★★★★
この「工具機口罩国家隊感恩会」には蘇貞昌院長のほか、総統府の頼清徳副総統、行政院の沈栄津副院長(=副首相)、経済部の王美花部長が出席した。会場では台湾のマスク増産の過程を記録したドキュメンタリー番組『創罩奇機』も上映された。