呉釗燮外交部長(外務大臣)が今月22日、ポルトガルの日刊紙「プブリコ(Público)」のリモート取材に応じ、中国が台湾にもたらす脅威、新型コロナウイルス対策での経験、台米関係の発展、ならびにリトアニア共和国における代表機関設置などについて詳しく説明した。インタビューは呉外交部長が「プブリコ」の記者、António Saraiva氏の質問に答える形で行われた。なお内容は28日に「プブリコ」に掲載された。
中華民国(台湾)はこのほどリトアニアの首都ヴィリニュスに駐在機関「台湾駐リトアニア代表処(The Taiwanese Representative Office in Lithuania)」を開設することになった。これについて呉外交部長は、台湾が昨年マスクを寄付してリトアニアのコロナ対策に協力したこと、そして今年はリトアニアが台湾に新型コロナワクチン2万回分を無償提供したことを挙げ、民主主義国家間での「善のサイクルを示すもの」と評価した。その上で呉外交部長は、台湾とリトアニアは共に自由民主の体制を守る戦線にあり、これからも手を取り合って世界の平和と安定、繁栄のために貢献出来るよう努力していくと強調。台湾とリトアニアは共に経済貿易、科学技術の面での交流と連携を深め、相互信頼、互助互恵の長期的な関係を築けるよう願っていると述べた。
インタビューの中で呉外交部長は、今年はポルトガルなど100を超える国の国会議員3,000名、ならびに多くの国の政府上層部が台湾のために強く声を上げ、台湾がWHO総会(世界保健機関の年次総会)に参加しようとする取り組みを支持してくれたと指摘、台湾とポルトガルは共に自由、民主、人権の価値を守る国だとして、ポルトガル政府が台湾の国際組織参与を支持することに強く期待する立場を示した。
台湾と米国の関係について呉外交部長は、米国はバイデン政権が発足して以来、台湾に対する揺るがぬ支持を具体的な行動で度々示していると評価、その例として米国が新型コロナワクチン250万回分を台湾に無償提供し、台湾のコロナ対策を助けたことを挙げた。呉外交部長はまた、アントニー・ブリンケン国務長官ら米国の政府高官が「台湾関係法」及び「(台湾に対する)六つの保証」をこれからも守っていくことを重ねて表明していることも指摘した。
呉外交部長はまた中国大陸との関係について、政府は「平和、対等、民主、対話」の立場を堅持して対処していくとした上で、平等という条件の下、台湾海峡両岸が共に有意義な対話を実現出来るよう望む態度を示した。呉外交部長は、最近では日米豪印戦略対話(QUAD)、日米首脳会談、米韓首脳会談、日EU首脳協議、G7(主要7カ国)外相会合、日豪2プラス2(外務・防衛閣僚会合)など世界の重要な会議がいずれも台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を重ねて訴えていると説明。その上で、台湾は日々強まる中国による軍事的脅威に向き合い、引き続き自衛能力の強化に努めることで自己防衛の決意を示すほか、理念の近い国々との連携を強めていくと語った。