蔡英文総統は台湾時間11日午後4時(チェコ時間同日午前10時)、チェコのForum 2000 Foundationの招きを受けて、国際会議「第25回フォーラム2000(Forum 2000)」のオンライン開会式でビデオ演説を発表した。
「Forum 2000 Foundation」は1996年、国際社会における恒常的なオピニオンプラットフォームとなるようチェコの初代大統領ヴァーツラフ・ハヴェル(Václav Havel)氏らの提唱によって設立された。蔡英文総統は昨年の「第24回フォーラム2000」でも、招きを受けてビデオ演説を発表している。
蔡英文総統の演説の概要は以下のとおり。
米国の「全米民主主義基金(NED)」のカール・ガーシュマン(Carl Gershman)前会長が、今回設立された「The Forum 2000 International Award for Courage and Responsibility」の初回受賞者となったことに心からお祝いを伝えたい。Carl Gershman 氏は30年以上に渡って、世界各地において民主主義を推進し、民主主義の団結を促すことによって、模範となった。Carl Gershman 氏は、台湾の民主主義をしっかりと支えている古くからの友人だ。
台湾はCarl Gershman 氏のサポートと協力のもと、アジアで初めて世界に民主主義の促進を目的とした「財団法人台湾民主基金会」を設立した。基金会は来年、設立20周年を迎える。
前回Carl Gershman 氏と会ったのは2019年の「大綬景星勲章」の授賞式だ。同賞はCarl Gershman 氏が民主主義推進や台米関係強化において、大きな貢献を果たしたことに対して贈られた。今年引退したCarl Gershman 氏に「ご勇退おめでとうございます」と伝え、新型コロナウイルスが収束してから、再び台湾へ訪問することを歓迎する。
新型コロナのパンデミックを経た現在、権威主義体制はその統治モデルが民主主義体制よりさらに21世紀のニーズに沿ったものだという確信を強めている。権威主義体制はグレーゾーン戦術、軍事的脅威、情報操作を通じて、民主主義に対する国民の信頼を失墜させ、社会を分裂させようとしている。
台湾はこれらの攻撃の矢面に立たされている中、このような脅威に対抗するべく努力を重ねている。台湾は今までの経験を共有し、引き続き理念を同じくする国家と共に自由と民主主義を擁する世界の秩序を守り、権威主義体制による前代未聞の挑発行動に対応していく。
この場を借りて、台湾と理念を同じくする友好的な欧州各国へ深い謝意を表したい。特に、リトアニア、ポーランド、スロバキア、チェコは、コロナ禍という危機的状況にある台湾へ救いの手を差しのべてくれたことに感謝している。さらにリトアニアが、大きな圧力に屈することなく、今年中に台湾と出先機関の相互設置を認めたことにも心から感謝している。