ニカラグア政府が「一つの中国原則」に基づき、中華民国(台湾)の大使館だった建物の没収と中華人民共和国への移転を命じていることに対し、中華民国外交部(日本の外務省に相当)は27日、以下の返答で強い抗議の意を表明した。
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中華民国台湾は主権の独立した民主主義国であり、中華人民共和国とは互いに隷属しない。国際法の関連規範と「外交関係に関するウィーン条約」第45条に照らし合わせれば、今年12月10日の台湾とニカラグア両国の外交関係停止後、ニカラグア政府は我が国の大使館だった建物及びその財産と公文書を保護する義務を負う。しかしニカラグア政府は我が国の元大使館を横領し、不法に中華人民共和国に移転した。我が国政府はこれを受け入れず、強烈な抗議を表明する。
ニカラグアのオルテガ政権は国際的な慣例と異なり、大使館の撤収に「2週間以内」という期限を設けたほか、国際法の規定を無視し、我が国が大使館だった建物をニカラグアのカトリック教会に寄付したことを横暴に妨害。さらに本日(27日)、この建物を横領した。我が国政府はこれら重大な違法行為を強烈に非難する。
ニカラグア政府は今年12月10日、我が国との国交断絶を一方的に宣言してから、我が国が同国に駐在させる人員全てに12月23日までの同国退去を要求。これは国際的な慣例に反する要求だが、我が国の大使館は海外での国有財産を適切に処理する責任を果たすため、緊急かつ限られた時間の中で大使館の館舎をニカラグアのカトリック教会のマナグア教区に譲渡し、公共の利益のために使ってもらうことにした。(譲渡価格は1米ドルという象徴的なもので、実質的には「寄付」)双方は12月22日に契約を終え、現地の弁護士の公証を経て教会側も大使館だった建物を適切に保護し、運用していくことを約束していた。
ニカラグアのオルテガ独裁政権と中国の全体主義政権が手を組み、民主的な台湾とカトリック教会を迫害していることに対し、外交部はあらためて「台湾が中華人民共和国の一部だったことはない。中国共産党による政権は台湾の対外業務に干渉する権利を持たず、ましてや我が国の国有財産を継承する権利など無い」と訴える。また、外交部は国際社会に対し、ニカラグアと中国政府の下劣な行いを共同で非難するよう呼びかけると共に、ニカラグアのカトリック教会がニカラグア政府からしかるべき権利を勝ち取り、我が国の大使館だった建物を教会の財産として登記出来るよう協力することを呼びかける。