欧州議会は2月17日の本会議で、欧州連合(EU)の「共通外交安全保障政策(Common Foreign and Security Policy, CFSP)」と「共通安全保障防衛政策(Common Security and Defence Policy, CSDP)」の年度執行報告に関する決議案をそれぞれ可決した。CFSPに関する決議は賛成474票・反対113票、CSDPに関する決議は賛成369票・反対197票だった。
この二つの決議の中で欧州議会は中国による台湾に対する軍事的配備の強化、ならびに台湾の防空識別圏(ADIZ)への侵入の継続について深刻な懸念を表明し、中国に対して台湾海峡及びインド太平洋地域の平和と安定を脅かす行為を止めるよう呼びかけた。CFSPの決議ではさらに、中国のリトアニア及びその他EU加盟国に対する脅迫行為を特に非難、中国のリトアニアに対する圧力に関して欧州委員会が世界貿易機関(WTO)への提訴を決めたことを歓迎すると共に、EU及びEU加盟国が民主的な台湾とパートナーの関係を結び、台湾とEUとの連携を深めるよう求めた。具体的には、二者間投資協定(BIA)を締結した場合の影響評価、国民の意見を広く募るパブリックコンサルテーション、範囲の定義など締結に向けた交渉前の準備作業を台湾と早期に始めること、ならびに台湾がオブザーバーとして様々な国際組織及びそのメカニズムと活動に参与することを強力に支持して台湾支持の立場を明確にすることを挙げた。
中華民国外交部(日本の外務省に相当)によると、欧州議会は昨年台湾に友好的な文言を記した決議を13件行っており、そのうち10月の「EUと台湾の政治関係と協力(EU-Taiwan Political Relations and Cooperation)」レポートの可決と、11月に欧州議会が初めて公式な訪問団を台湾に派遣したことは最も有意義だった。外交部は17日に発表したプレスリリースで、「欧州議会は今年も早々と我が国に友好的な決議案を二つ可決し、具体的な行動で台湾という民主的なパートナーに対する支持と重視を示した」として、心からの歓迎と感謝の意を表した。
この二つの決議案はEUのCFSP及びCSDPの年度執行報告について欧州議会が提出した全体的な政策提言で、党派を超えて幅広い支持を集めた。台湾海峡の安全保障情勢、ならびに中国による台湾への軍事的な挑発に対して欧州議会が寄せる関心が著しく強まっているほか、CFSPについては初めてEUと台湾のBIA締結に向けたコンサルテーション作業を台湾と始めることを支持する内容が盛り込まれた。そしてさらに、中国のリトアニアに対する経済的圧力への深刻な懸念を表明、EUとEU加盟国が理念の近いパートナーと連携し、複合的な脅威などに共同で立ち向かうよう促した。中華民国外交部は、この二つの決議内容は日増しに強まる中国の他国への独断、脅迫、圧力に対する懸念と警戒、そして台湾の地政学的、ならびに経済と貿易面でのサプライチェーンにおけるキー的な地位に対する重視を際立たせていると評価した。