2025/07/20

Taiwan Today

外交

蔡総統が東京大学「両岸関係研究グループ」の訪問受ける  

2022/08/26
蔡英文総統(中央)は25日、松田康博教授(左から4人目)率いる東京大学の両岸関係研究グループ一行の訪問を受け、民主主義の国々が手を取り共に地域の安全を守るべく、台湾と日本がさまざまな分野で交流と協力を進め、自由で開放的なインド太平洋地域の安定と発展を促していきたいとの期待を語った。(総統府サイトより)
蔡英文総統は25日午前、日本の東京大学の両岸関係研究グループ(両岸関係研究小組)一行の訪問を受けた。松田康博教授率いる訪問団との会見において蔡総統は、主権と民主主義、自由を守るという台湾の決意は圧力や恫喝により揺らぐものでは決してないと強調した。また、民主主義の国々が手を取り共に地域の安全を守るべく、台湾と日本がさまざまな分野で交流と協力を進め、自由で開放的なインド太平洋地域の安定と発展を促していきたいとの期待を語った。
 
蔡総統はまず、松田教授が再び訪問団を率いて総統府を訪れたことを歓迎した。メンバーは台日関係と両岸関係について長期にわたり関心を寄せる研究者であり、対面で交流できることを喜ばしく思うと述べた。
 
また蔡総統は、台湾を学術研究の主体とする台湾研究は、学術面においても実務面においても非常に難しい仕事であり、松田教授らのグループは、台湾の歴史、政治、経済などについていずれも深く探究し、両岸関係研究においても多くの成果を残していると指摘、日本の学術研究者がこのような努力を続けてくれることにより、台湾研究がより重視されることを期待すると表明した。
 
蔡総統は、中国が先ごろ行った台湾周辺における軍事演習が、地域の安全保障にとり重大な脅威となっていることを皆が目撃したが、主権と民主主義、自由を守るという台湾の決意は圧力や恫喝により揺らぐものでは決してないと述べた。台湾は国際社会の一員として揉め事や衝突は起こさないと強調し、民主主義の国々が手を取り共に地域の安全を守るべく、台湾と日本もさまざまな分野で交流と協力を進め、自由で開放的なインド太平洋地域の安定と発展を促していきたいとの期待を語った。
 
松田教授はあいさつで、蔡総統が多忙な中時間を割き訪問を受けたことに謝意を示し、訪問がかなわなかった2年間は遠くから台湾を観察するほかなかったが、ようやく台湾を訪れることができた感想を4点に分けて述べるとした。まず一点目に、台湾では新型コロナウイルス感染症対策が非常に成功し、当初採ったゼロコロナ政策のおかげでワクチンの普及に十分な時間が取れたと指摘。現在流行中の変異株は感染力が強いが毒性は弱く、市民生活の正常化を進めるこの段階において感染拡大は避けられないと述べた。世界を見渡せば、台湾のように感染症対策と経済発展を両立できたケースは少なく、台湾の政府と人々の抜きんでた防疫意識、実行力、柔軟性に敬意を示したいと述べた。
 
松田教授は二点目として、国境開放の重要性について、水際対策の緩和が重要な課題であると指摘した。このたび訪問研究者として停留ビザを取得するのに一年待ったが、今も世界各地の中国語学習者が台湾留学がかなうことを期待しているだけでなく、東アジアに関心を持つ海外の研究者や専門家も台湾を訪問しその目で実際の状況を確認し、調査研究や意見交換ができる日を心待ちにしていると述べた。台湾の最大の強みは自由で開放的な社会にあり、開放が進むほどその強みを発揮できると指摘、台湾が国境を開けば、観光客も含め世界各地から人々が訪れ、台湾のすばらしさを世界中に届けることができると語った。
 
三点目として松田教授は、安全保障面における台湾の重要性について、今年ウクライナで戦争が勃発したこと、8月初めにも中国が台湾周辺において大規模な軍事演習を行ったことを挙げ、いま世界中で民主主義が脅威にさらされ、世界各国が台湾の価値をあらためて発見するとともに台湾の安全保障についても憂慮していると指摘。ただ、憂慮するだけでは問題は何ら解決することはできず、台湾と米国、そして日本を含む米国の盟友らが協議する内容、達成すべき目的、目標が最も重要であると述べた。さらに中国がいかなるシグナルを発しているかを見極めることも重要であるが、これには台湾を守るという台湾の政府と人々の強い意思と実力がその大事な基礎となるとし、仮に実力が追い付かなければ国際協力、または中国との意思疎通の中で、安全保障における台湾の利益を反映させることができないと語った。
 
松田教授はさらに四点目として、日本と台湾の関係は好循環に入っているとし、日本から台湾に新型コロナワクチンが提供されたこと、台湾から環太平洋連携協定(CPTPP)への加盟が申請されたこと、また台湾において日本の食品に対する輸入規制が緩和されたことなどは、すべて単独の出来事ではなく、この好循環の上にあるものだと指摘した。この循環の中心的な人物であった安倍晋三元首相が不幸にしてこの世を去り、政策を実現する強い能力を持つ優れた政治家を失ったのは遺憾ではあるが、だからといって我々は台日間の好循環を決して途切れさせてはならないと語った。
 
最後に、松田教授は、長年にわたり台湾の政治、経済や両岸関係を観察し、研究してきたが、先人が「天下興亡、匹夫有責(天下の興亡、匹夫も責め有り)」と言ったように、自身は一介の書生ではあるが、この訪問を機にさらに台湾への理解を深め、世界に向けて台湾の価値を伝えていきたいとの希望を語った。
 
国防安全研究院の訪問研究者である加藤洋一氏、東京大学の黄偉修特任研究員なども含む訪問団は、外交部の曽厚仁政務次長(=外務副大臣)、台湾日本関係協会の周学佑秘書長(事務局長)らの案内で総統府を訪れ、蔡総統のほか総統府の李大維秘書長及び国家安全会議の顧立雄秘書長らに出迎えられた。

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