蔡英文総統が8月31日、頼清徳副総統と共に、リモート形式でパラオ共和国のJ・ウドゥ・センゲバウ・シニョール(J. Uduch Sengebau Senior)副大統領兼司法大臣の訪問団一行と会談した。一行は蔡総統と直接会うことになっていたが、一部の団員が新型コロナウイルスに感染したためリモート形式へと変更された。
蔡総統は、台湾とパラオはいずれも情熱にあふれた海洋国家で民主と自由の普遍的価値を共有していると指摘、台湾とパラオは過去20年あまり共通の理念の下、各分野での協力に安定した基礎を築いてきたほか、継続的な交流を通じて双方の人々の友情をいっそう深めていると評価した。
蔡総統は、「パラオ政府が民主の盟友が互いに支え合う精神を発揮し、国際的な場で長年台湾のために発言し、台湾の国際社会参与を支持していることに感謝する」と述べ、世界がポストコロナ時代に移行する中、台湾とパラオはいっそう連携を強め、国際社会により多くの貢献をしていかなければならないと訴えた。
蔡総統は、シニョール副大統領の今回の訪台では両国の「刑事司法共助協定」と法医学分野での協力を目指す覚書、そして「災害リスク管理能力の構築と防災技術共有協力協定」がそれぞれ調印されたことに触れ、両国が引き続き分野を跨いだ交流を発展させて双方の人々により多くの福祉をもたらせるよう期待した。蔡総統はそして、そう遠くない未来にシニョール副大統領が再び台湾を訪れてくれるよう希望し、両国の関係により豊かな成果を生み出せるよう共に努力しようと呼びかけた。
シニョール副大統領は今回の訪問で交わした三つの協定(覚書含む)について、気候変動、災害への備え、刑事司法共助と法医学分野での協力に関するもので非常に重要だと評価。こうしたパートナーシップはパラオのスランゲル・S・ウィップス・Jr.大統領が2020年に打ち出したテーマにかない、パラオ国民の安全を確保するものだと歓迎した。
シニョール副大統領は、パラオは台湾と同様に広大な領海を持つ一方土地は小さいため前線では既存の科学技術を運用するのに非常に努力していると指摘し、特にリモートでのデータ観測装置を利用して領海の監視を維持していると説明。また、地域のパートナーたち、とりわけ中華民国台湾のサポートは自由で開かれたインド太平洋地域の維持を支えていると感謝した。
シニョール副大統領は台湾がパラオの若者に台湾で学ぶための奨学金を提供していることについて、「現在パラオの学生65名が台湾で大学に通っており、これはパラオの未来への大変大きな投資だ」と述べ、台湾の奨学金はパラオ及び太平洋地域全体の安定と安全に資するとの見方を示した。
またシニョール副大統領は、台湾の女性たちが行政機関で重要な役割を担っていることに感心していると話し、パラオ政府のガバナンスにおいても性別面でのバランスがプラス効果を発揮するよう希望した。シニョール副大統領は、パラオの議会で女性が占める割合は10%未満であるのに対し、台湾では50%近くに達しており、こうしたバランスの良い性別の関係は全世界が模範にすべきだと強調、そして台湾が女性のエンパワーメントやジェンダー平等などで全世界をリードしてくれるよう期待した。