「対中政策に関する列国議会連盟(Inter-Parliamentary Alliance on China,IPAC)」の共同議長(Co-Chair)で欧州議会の対中関係代表団の団長を務めるラインハルト・ビュティコファー(Reinhard Bütikofer)議員がIPACの共同議長5名とメンバー2名、ならびに事務局職員らを率いて1日から4日まで台湾を訪問している。外交部(日本の外務省に相当)は10月31日、歓迎のプレスリリースを発表した。
IPACは世界五大陸の各国議会と欧州議会が共同で提唱し、2020年6月に結成された民主連盟で、IPACが代表団を組んで台湾を正式に訪問するのは初めて。中国が今年8月、米国のナンシー・ペロシ下院議長が訪台したのを口実に台湾に対して侵略的な合同軍事演習を始めたのに対し、IPACは9月に米ワシントンD.C.で開いた総会でこれを強く非難する共同声明を発表。同声明ではまた、国会議員の訪台に力を入れることで中国の政治的及び軍事的な脅迫に対抗していく方針を打ち出した。台湾へはこのところ、フランス議会、ドイツ議会の議員たち、そして欧州議会の副議長らの訪問が相次いでおり、外交部は、「またもや欧州各国による重要な訪問団が具体的な行動で台湾に対する揺るぎのない支持を示した」として謝意を表した。
今回の訪問団のうち8名はドイツ、ベルギー、チェコ、オランダ、コソボ共和国、イギリス、ウクライナの国会議員。団長のビュティコファー議員は欧州議会の対中関係代表団の団長。ベルギー国籍のIPAC共同議長、Els Van Hoof氏はベルギー下院外交委員会の委員長でもある。ウクライナ国籍のMykola Kniazhytskyi共同議長は同国の「欧州連合-ウクライナ国会関係委員会(EU-Ukraine Parliamentary Association Committee)」の委員長を務め、同国議会の親台湾派グループの創始メンバーでもある。またコソボ国籍のAvdullah Hoti共同議長はコソボの首相経験者。外交部はこの顔ぶれから、「訪問団の重要性、ならびに代表としての性質が見て取れる」と評価している。
訪問団は台湾滞在中、蘇貞昌行政院長(首相)と会談し、呉釗燮外交部長(外務大臣)主催の宴会でもてなしを受ける。団長のビュティコファー議員はメンバーと共に立法院(国会)を訪れて游錫堃立法院長(国会議長)を表敬訪問するほか、立法委員(国会議員)らと交流する。訪問団はまた、中華民国政府で対中政策を担う省庁である大陸委員会、経済部(日本の経済産業省に相当)を表敬訪問する。また欧州経貿弁事処(EETO)、欧州在台商務協会(ECCT)、関連の商工団体と経済貿易円卓会議を開き、台湾と欧州の経済・貿易・投資、ハイテク産業、サプライチェーンの安全保障など各分野での協力関係強化について話し合う。
「対中政策に関する列国議会連盟」は欧州議会、米国、欧州諸国、オーストラリア、カナダ、インド、日本など29カ国の国会議員が超党派で参加する国際的な議員連盟。その目的は、理念の近い各国の議員が連携を深め、法律を制定する形で中国が国際ルールと全世界の安全、普遍的な人権を守るよう要求していくことであり、国際的に大きな影響力を持つ。