2025/06/08

Taiwan Today

外交

外交部の呉釗燮部長、「台湾の人々は国家と自由のために戦う準備ができている」

2022/12/28
フランスの日刊紙『ル・フィガロ』は27日、「台湾の人々は自由のために戦う準備ができている(Les Taïwanais sont prêts à se battre pour leur liberté)」のタイトルで外交部の呉釗燮部長(外相)の取材内容を掲載した。写真左は『ル・フィガロ』のSébastien Fallettiアジア特派員。(外交部)
フランスの日刊紙『ル・フィガロ』は今月15日、ロシアのウクライナ侵攻、中国共産党第二十回全国代表大会後の中国内政及びそれが台湾情勢に与える影響、民主体制の優位性などについて外交部の呉釗燮部長(外相)にインタビューを行った。インタビューの内容は27日、「台湾の人々は自由のために戦う準備ができている(Les Taïwanais sont prêts à se battre pour leur liberté)」のタイトルで報道された。以下は呉釗燮部長の発言の概要。
 
【ウクライナの人々から勇気をもらった台湾】
この部屋にはウクライナの国旗が掲げられている。そこには前線で戦うウクライナ人兵士のサインが入っている。ボクシンググローブは、元プロボクサーでもあるウクライナの首都キーウのビタリ・クリチコ市長から贈られたもので、非常に意義のあるものだ。ロシアによるウクライナ侵攻は台湾に大きな啓示を与えた。つまり、ウクライナ侵攻の本質は専制国家による民主国家に対する暴力であり、台湾の人々は主権と自由のために戦うウクライナの人々の勇気を目の当たりにした。このため、この戦争が始まると同時に、台湾は国際社会とともにロシアを批判し、対ロシア経済制裁の仲間に加わった。同時に、ウクライナに対する人道支援や復興支援を行い、ウクライナの人々から高く評価された。
 
【防衛力強化に努める台湾】
台湾は、中国の権威主義に対抗するための最前線に位置する。ウクライナの人々が非対称戦略によって世界最強とも言われる軍隊の一つを撃退していることに、私たちは深く鼓舞された。このため私たちは、積極的に国防改革を進め、国防産業の強化に取り組み、同時にアメリカから国防のための武器供与を受けるなどして防衛力強化に努めている。台湾は同時に、その他の民主国家との連携を強化し、国際社会から支持を取り付けている。主要7カ国(G7)や欧州連合(EU)などはいずれも台湾海峡の現状が一方的に変更されることに反対すると明言している。こうした動きは中国の野心を抑止するのに極めて重要なことである。
 
【国民の不満をそらすため台湾を利用する可能性も】
中国の習近平国家主席が、2027年までに台湾侵攻に踏み切るとの見方がある。景気の成長が頭打ちとなり、ゼロコロナ政策の失速など社会問題を抱えるこのタイミングに、中国が台湾への武力行使を行って国民の不満を外にそらす可能性は否定できない。中国からの脅威が高まる中、台湾にできる最善のことは十分な備えをすることだ。世論調査でも多数の台湾人が、国を守る準備はできており、自由のために戦うと答えている。中国が香港に強要した「一国二制度」を、台湾の人々は断固として受け入れない。もし不幸にも戦争に至った場合、旧約聖書に出てくるダビデとゴリアテのように、我々は必ず侵略に抵抗するだろう。しかし、台湾は戦争の発生を望んでいない。しっかりと準備をすればするほど、それが中国政府への抑止につながり、中国が台湾に侵攻する機会は小さくなるだろう。
 
【民主主義制度と権威主義体制について】
民主主義制度は不確実性が高く、短期的な混乱期を経験するだろう。しかし、長期的に見れば、民主主義制度のほうが強靭性があり、自己回復力を持っている。一方、権威主義体制は表面上は強力だが、政権交代の仕組みがないため、政策に問題があればそれが腐敗につながりやすい。高度な専制政治を行う国が、往々にして災難をもたらす決断を下すのはこのためだ。
 
★★★★★
 
『ル・フィガロ』は1826年創刊。フランスでも最も長い歴史を持ち、最多の発行部数を誇る総合性の日刊紙。読者には政治・経済分野の政策決定者や知識人も多く、世論の形成に大きな影響力を持つ。
 

ランキング

新着