呉釗燮外交部長(=外務大臣)が今年1月4日、イギリスのエコノミスト誌のインタビューに応じ、その内容が3月7日に同誌のウエブサイトで公開された。インタビューは同誌の駐台記者Alice Su氏が担当、内容は「Taiwan—Frontline Formosa」と題された特集記事の中で紹介された。印刷版は3月11日に発売される。
呉外交部長はこの中で中国のリトアニアに対する圧力について触れ、「リトアニアは中国による経済的な脅迫にもかかわらず台湾との交流を堅持しており、台湾とリトアニアの関係は引き続き強まっている。またチェコのペトル・パベル新大統領も中国の脅しを恐れず、蔡英文総統との会談を希望している。これらはみな大多数の人が『中国が喜ばない』ことを警戒しておらず、逆に台湾との関係を発展させる国に対して中国は横暴で理不尽な報復をしてはならないと考えていることを示す」と述べた。
昨年、中国がナンシー・ペロシ米下院議長の訪台を口実に台湾に対する軍事演習を行ったことについて呉外交部長は、「台湾がどのように国際社会と付き合うかを決める権利を中国は持たない。台湾は外国からの人々をすべて歓迎する。どのような形であれ、世界の人々が台湾を支持してくれれば台湾の人たちは『自分たちは独りぼっちじゃない』と感じるだろう」と述べた。呉外交部長はまた、台湾は非対称戦力の強化、軍事力の変革に積極的に取り組んで自衛の準備を整えると指摘、同時に国際社会の支持も取り付けて中国による台湾侵攻の可能性に対応していくと説明した。
「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への加入申請の進展については、「日本、オーストラリア、カナダなどの主要メンバーは台湾が同協定のハイレベルな規範を満たしていることを認めている。これまでのところ台湾の加入を支持しない国は皆無だ」とする一方、同時に加入申請している中国の世界経済に対する影響力を考慮して各会員国は台湾の参加を認めることと、それによる中国による報復を天秤にかけて慎重になっているとの見方を示した。
またウクライナとロシアの戦争について呉外交部長は、「ロシアによる侵攻が起き、政府は国際的な対ロシア制裁に加わると決めた。また、医療物資27トンをただちにウクライナに寄付、その後も国民から募った600トン近い救援物資と3,300万米ドルの義援金という『台湾のぬくもりと思いやり』を、ポーランド、スロバキア、チェコ、リトアニアなど隣国を通じて、戦火の中で国を守り続けるウクライナの人々に速やかに届け、具体的な行動でウクライナへの支持と援助の姿勢を示した。一方でこの戦争が勃発して以降、台湾は中国が認知戦やフェイクニュースで台湾の人々の自信を削ぐことをいっそう警戒するようになり、台湾海峡の平和と安全保障への影響を防いでいる」と述べた。
この特集記事は8つの文章からなり、中国の脅威、経済貿易、軍事、歴史、政治、アイデンティティなどから台湾が現在直面する課題を深く分析。同時に、今こそ台湾が民主主義の強靭性を発揮する機会だとして、国際社会に対して台湾への支持、ならびに傍観すべきではないことを訴えている。
イギリスの「エコノミスト」誌は1843年創刊。世界の政治、経済、商業、科学技術、文化、芸術などを幅広く報道している。6地域でのバージョンがあり、印刷版とデジタル版を合わせて発行部数は150万部以上。ウェブサイトのユニーク訪問者は毎月879万人を超えるなど国際的な与論にも大きな影響力を持つとされる。