呉釗燮外交部長(=外務大臣)が今年2月15日にオーストラリア放送協会(Australian Broadcasting Corporation,ABC)の駐台記者、Bill Birtles氏によるインタビューに応じた内容が3月8日、同メディアがゴールデン・タイムに放送している番組「Current Affairs 7.30」で紹介された。
呉外交部長は、日増しにエスカレートする中国の軍事的脅威に対応するため、台湾は自衛力を徐々に強化していると指摘。昨年8月に中国がナンシー・ペロシ米下院議長の訪台を口実に台湾海峡周辺で軍事演習を行って以降、台湾は全国民による国防のさらなる強化に乗り出し、義務兵役期間を1年に延ばすことを決めたほか、様々な戦備や演習、予備役の召集や訓練なども強化していると説明した。また、呉外交部長は台湾には自己防衛の能力と決意、準備があるとした上で、若い世代が国を守るであろうことにも十分自信があると強調した。
2024年の総統選挙、ならびに米国での大統領選挙が中国に台湾侵攻の機会をもたらす可能性について呉外交部長は、「台湾は民主主義を誇りにしており、選挙の過程における熾烈な政治的競争については危惧しないが、中国は台湾の総統選挙に操作や影響を加えるため手段を選ばない。このため我々は警戒を強め、中国が総統選挙を利用して問題を起こすことをしっかりと防がなければならない」と警戒した。また、米国については、「台湾は米国政府、議会、与野党のいずれからも支持されており、大統領選でどちらが与党となろうが台湾に対して友好的な政策をとるだろうことは間違いない。米国の民主制度は成熟しており健全だ。政権の引継ぎでも『権力の空白期間』は生まれず、中国に付け込む隙を与えることはないだろう。だから我が国は全く心配していない」と語った。
呉外交部長は、オーストラリア政府が台湾に友好的な立場でいることに感謝、その例として、オーストラリア政府が台湾海峡の平和と安定に対する懸念を度々表明していること、台湾海峡への武力による一方的な現状変更に反対していること、そして台湾の国際社会参与を支持していることを挙げた。呉外交部長はさらに、「台湾とオーストラリアの関係は強固かつ健全だ。我が国は今後もオーストラリアと力を合わせて国際社会に有益な事柄に取り組んでいく。例えば、台湾の『環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)』加入、台湾とオーストラリアの『経済協力協定(ECA)』締結などで、両国とインド太平洋地域の繁栄と発展に共に取り組んでいきたい」と述べた。
このほか呉外交部長は、「昨年、ロシアとウクライナの戦争が始まると我が国はただちに国際的な対ロシア制裁に加わった。政府は最短時間で最初の医療物資27トン、ならびに民間が募った600トン近くの現地で必要とされる物資をポーランドやスロバキアなど隣国を通じてウクライナの人々に速やかに届けた」と説明。さらに外交部長の接客室に飾られているウクライナの前線で戦う兵士たちのサイン入りウクライナ国旗、キーウ市のビタリ・クリチコ市長のサイン入りボクシンググローブ(クリチコ氏はプロボクシングの元世界王者)などはいずれも台湾に対する感謝と友情を示しており、台湾にとって比類なき啓示と鼓舞の働きを持つものだと評価した。