中華民国(台湾)外交部(日本の外務省に相当)は26日、中米のホンジュラス共和国との国交断絶を発表した。ホンジュラスが中華人民共和国と国交樹立について交渉を行う中(その後、国交樹立を発表)、中華民国(台湾)とホンジュラスとの交渉に進展が見込めないことから、国家の主権と尊厳を守るため外交関係を終わらせることを決めた。
外交部はこの日をもってホンジュラスとのあらゆる二国間プロジェクトを終了し、在ホンジュラス中華民国大使館及び在サン・ペドロ・スーラ中華民国総領事館を閉鎖した。また、大使館・領事館職員や、技術団・電力支援団の職員らを撤退させるとともに、ホンジュラスに対して在中華民国大使館の閉鎖を要求した。
【外交部ニュースリリース】
外交部は26日に発表したニュースリリースで、「中国は実現できもしない約束をちらつかせ、言葉巧みに中華民国(台湾)の国交樹立国に近づく。しかし、外交目的を果たすと約束を実行しない。支援を受けた国が借金地獄に陥るケースもある」と指摘し、中国の対外支援の「言行相反(げんこうそうはん)」の本質をしっかりと見極めるよう各国に呼び掛けた。
外交部はまた北京当局に対し、「中華民国(台湾)は主権独立の国家であり、中華人民共和国と互いに隷属しないということは事実であり現状である」と改めて表明。台湾は中国の権威主義による圧力や脅迫に屈せず、自由と民主主義の価値を固く守り抜くこと、外交関係を持つ国々や近い理念を持つ国々と積極的に連携し、地域の平和と安定の維持取り組み、しかるべき国際地位の獲得を目指していく姿勢を示した。
【総統談話】
ホンジュラスとの国交断絶に関しては26日、蔡英文総統もビデオメッセージの形式で談話を発表した。蔡総統は、「中国との無意味な金銭外交には関わらない」とする立場を明確に示した上で、近年中国がさまざまな手段によって台湾の国際参与に圧力を掛け、台湾周辺で軍事訓練を行うなど地域の平和と安定を脅かしていることに触れ、「こうした圧力や脅威によって、中華民国と中華人民共和国が互いに隷属しないという事実が変更されることはないし、自由や民主主義を守ろうとす台湾の人々の気持ちが損なわれることはない」と述べた。
そして、「台湾の人々が世界に対して証明しているように、我々が脅威によってひるむことはない。国交樹立国や近い理念を持つ国々との協力や連結によって国際社会の幸福や安全を促進しようとする努力は、増えることはあっても減ることはない」と強調し、これからも外交関係を持つ国々や近い理念を持つ国々と肩を並べて前進し、より良い世界を作るために取り組んでいく決意を示した。
【日本台湾交流協会】
なお、日本台湾交流協会台北事務所(台湾における日本大使館に相当)の泉裕泰代表(=駐台大使に相当)は26日、同協会のフェイスブックに、「台湾の外交部は本日、ホンジュラス共和国との断交を発表した。台湾と日本は基本的価値を共有する、経済関係においても人的往来においても緊密な重要なパートナーである。日本にとって台湾はこれからもかけがえのない重要なパートナーだ。日本台湾交流協会は台湾の最も近くて親しい隣国として台日間の友好関係の深化に取り組んでいく。我々はいつも台湾のそばにいる。これからもともに努力し、前進しよう。日本と台湾、一緒に頑張ろう!」とするコメントを署名入りで発表した。