台湾が欧州復興開発銀行(European Bank for Reconstruction and Development, EBRD)の呼びかけに応じ、21日に欧州連合(EU)、ノルウェー、スイス、ウクライナとの共同声明に署名、ウクライナにおける民間の保険市場再開に共に協力する意志を表明することで、戦時下でのウクライナのレジリエンスと将来の復興・再建を支えていく姿勢を示した。台湾の謝武樵駐イギリス代表が欧州復興開発銀行のオディール・ルノーバッソ(Odile Renaud-Basso)総裁、ならびに各方の代表と同共同声明にサインした。
ウクライナの人々の生計はロシアによる軍事侵攻で壊滅的な影響を受けており、将来の立て直しには官民による協力が不可欠。しかし戦争から派生するリスクがウクライナの保険市場の正常な運営を阻害し、商業活動と企業による投資マインドに影響を及ぼしている。台湾、欧州復興開発銀行、EU、ノルウェー、スイス、ウクライナはこのほど、「保険市場の運営回復が民間からの投資を生み、ウクライナの再建を助ける重要なカギになる」との考えで一致、今後欧州復興開発銀行をプラットフォームにして国際的な保険会社と協力し、「ウクライナの復興に関する保証機関(Ukraine Recovery Guarantee Facility, URGF)」設立の可能性を探っていくことにした。企業に対して適切な保険商品を提供することで、ウクライナでの企業経営もしくは投資のリスクを引き下げる。
ロシアとウクライナの戦争が始まると台湾はただちに欧州復興開発銀行のウクライナ支援プロジェクト第1弾に参加しており、今回の共同声明は台湾が世界のパートナーたちと共同でウクライナ支援に取り組む努力とウクライナの復興を助ける実際の行動を改めて示すもの。外交部(日本の外務省に相当)は、「台湾は国際社会における民主主義陣営の一員として、理念の近い国や関連の国際組織と一致団結し、地域及び全世界の平和と安定を共同で維持していく。また、国際社会の一員としての責任を果たし、ウクライナの人々の基本的な生計維持と今後の復興・再建を助け、我が国の『善のパワー』と『Taiwan Can Help(台湾がお手伝い出来ます)』の貢献精神を発揮していく」と話した。
欧州復興開発銀行は1991年創設で、イギリス・ロンドンに本部を置く国際開発金融機関。中東欧及びアジア・アフリカ地区の国家が市場経済へと転換し、民主的かつ多元的な社会に移行するのを助けることを目的としている。台湾は欧州復興開発銀行の重要な提携パートナーで、これまでに400を超える同行の技術協力プロジェクトに参加、また財団法人国際合作発展基金会(ICDF)を通じて同行の様々な共同融資計画に参与している。