台湾とインドは近年、経済貿易、科学技術、強靭なサプライチェーン、文化、教育、伝統医学などの面でいずれも大きな発展を実現している。こうした背景の下、台湾はインド最大の都市ムンバイ(インド西海岸に位置)に、駐ムンバイ台北経済文化弁事処を設けて両国の交流と協力を深めることにした。現在は各準備作業が進められている。「経済文化弁事処」は、中華民国(台湾)の領事館に相当する。台湾は2012年、同国南東部に位置するチェンナイに経済文化弁事処を設置。その後、「台商」(台湾資本ながら主に海外で活動する企業のこと)の6割近くがインド南部に進出して工場を設け、チェンナイ及び周辺地域が台湾の製造業者による投資の恩恵を受けることにつながった。ムンバイでの弁事処開設後、インド西部でも同様の作用が発揮されることが期待できる。
インドは2022年に世界5位の経済体となり、今年は世界で人口の最も多い国となった。その巨大な市場と潜在的なビジネスチャンスにより、インドは全世界の企業にとって真っ先に投資すべき場所となっている。ムンバイはインド最大の都市でインドの金融センターであるほか、インド最大の港湾を持つ。このため米国、日本、イギリス、オーストラリアなど多くの国がすでにムンバイに総領事館を設けている。
外交部(日本の外務省に相当)によると、駐ムンバイ台北経済文化弁事処は両国間における互恵の貿易と投資の機会を広げるほか、南アジア・東南アジア・ニュージーランド・オーストラリアとの幅広い関係強化を目指す「新南向政策」の下、台湾とインド西部との科学技術面、文化教育面、そして民間での交流を促進する。また、インドのマハーラーシュトラ州、ゴア州、グジャラート州、マディヤ・プラデーシュ州、ダードラー・ナガル・ハヴェーリー及びダマンディーウ連邦直轄領でのビジネス展開や海外旅行、海外在住の国民へのビザや各証明書類の提供、救難救助などの業務を行うという。
外交部は、駐ムンバイ台北経済文化弁事処は駐インド台北経済文化中心(大使館に相当)、駐チェンナイ台北経済文化弁事処と一丸となり、国民とインド在住華僑らによりよいサービスを提供していくとしている。