蔡英文総統が19日午後総統府で、日本の故・安倍晋三元首相の妻、昭恵さんと面会した。山谷えり子参議院議員、北村経夫参議院議員も同席した。
蔡総統は、昭恵さんが「安倍元首相はいつも台湾のために何ができるか考えていた」と述べていることに触れ、自分たちも安倍元首相の台湾に対する真摯な思いを感じており、その死去を非常に惜しんでいると語った。昨年、日本の対台湾窓口機関・日本台湾交流協会台北事務所の外に民間によって掲示板が設けられると、わずか1日のうちに安倍元首相を追悼するメッセージで埋め尽くされた。また、18日に昭恵さんが訪れた安倍元首相の銅像(台湾南部・高雄市に設置されている)は民間での募金活動によって製作された。蔡総統はこれらを踏まえ、「みな、この『台湾の永遠の友』を偲びたいのだ」と話した。
蔡総統は、「安倍元首相は常に行動で台湾への支持を示した」とし、コロナ禍の中で安倍元首相が奔走し、日本政府から台湾へのアストラゼネカ製ワクチン420万回分の寄付を実現させたことを「我々はみな覚えている」と強調。また、安倍元首相が「台湾有事は日本有事」と主張したことは同氏の台湾に対する重視をさらに示すものだったとして、「安倍元首相がこれまで台日関係のために取り組んできたことは、今後、昭恵さんや台湾と日本の政府、そして民間の人々によって継承され、台日連携により多くの成果をもたらすと信じている」と語った。
昭恵さんはこれに対し、安倍元首相が生前に訪台を望み、計画まで立てていたことを指摘し、安倍元首相の精神はまちがいなく今回の訪問団と共にあるはずだと述べた。また、この日午前には李登輝元総統の墓前で献花したことに触れ、安倍元首相は李元総統を大変尊敬しており、いま二人はどこか遠くで台日関係の発展に関心を寄せているだろうと思いを馳せた。
昭恵さんは今回の訪台について、台日間の「まさかの時の友こそ真の友」の深い友情をひしひしと感じたとし、蔡総統と安倍元首相が相互信頼関係を築いたことが両国にあつい友情をもたらした主な要素であるとの見方を示した。
昭恵さんはそして、「台湾安倍晋三友の会」と台湾各界の様々な協力に感謝した。今回「安倍晋三友の会奨学金」を受ける日本人留学生とも対面した昭恵さんは台日の若者たちがこれからも関係を深めてくれることに期待すると共に、自らも安倍元首相の遺志を継いで両国の関係発展に力を尽くす考えを示した。