呉釗燮外交部長(=外務大臣)が7月28日、オーストラリアのテレビ局「チャンネル9」の米ロサンゼルス駐在特派員、Jonathan Kearsley氏のインタビューに応じた。このインタビュー内容は「台湾の対中国軍事力強化を米国が支援(US to help Taiwan bolster military against China)」と題され、7月30日の夜のニュース番組のうちメインとなるコーナーで放送され、オーストラリア各界の注目を集めた。
「チャンネル9」の記者は7月下旬に台湾で行われた軍事演習の「漢光演習」を取材するために訪台し、台湾の軍事力強化の状況を報道。呉外交部長はインタビューの中で、「中国は台湾海峡の緊張を絶えずエスカレートさせると共にフェイクニュースを通じて台湾で来年実施される総統選挙に干渉しようとしているが、民主主義国が権威主義国家による脅迫を受けるようなことがあってはならない。台湾の民主社会は成熟し、人民が外来の脅威を恐れることはない。国民は自由で民主的なライフスタイルを大切にしており、誰もそれをはく奪することは出来ない」と述べた。
また、中国による「祖国統一」の主張について呉外交部長は、「中国は全体主義の意志を台湾の人々に押し付けようとしているが効果を挙げていない。仮に中国の目標が台湾人民の支持を得ることならば武力による脅しを放棄すべきで、台湾の国際組織参与への妨害もやめるべきだ」と訴えた。呉外交部長は、中国が軍機や軍艦を引き続き台湾周辺に進入させることは台湾の人々の反感を強めるばかりでなく、偶発的な事案や誤った判断から災難レベルの問題へと発展する可能性も高めると懸念した。
呉外交部長は一方で国際社会の台湾に対するサポートに感謝。米国、オーストラリア、日本、欧州連合(EU)といった民主主義国が次々と台湾海峡の平和と安定への重視を表明していること、また米国が台湾の軍事改革や国軍の訓練に積極的に協力していることを挙げ、それらによって台湾はいっそう自信を深め、引き続き民主主義国との団結を強化することで中国の台湾に対する武力侵攻の野心を食い止めようとしていると訴えた。なお、呉外交部長はオーストラリアの代表的な動物の一つ、カンガルーのデザインされたラペルピンをつけてインタビューに応じ、「オーストラリアは台湾の揺るぎない友人だ」として、これからも二者間の関係強化に取り組む考えを示した。
「チャンネル9」はオーストラリア最大のメディアグループ「Nine Entertainment」傘下のテレビ局。同グループはテレビ局、ラジオ局、デジタルメディアなど様々なプラットフォームを有している。夜間のニュースの視聴者数はオーストラリアのメディアのうち最も多く、世論への影響力も大きいとされる。