中華民国(台湾)政府は、火災で正殿などが焼失した日本の沖縄県那覇市の首里城再建を支援するため、台湾産の紅ヒノキ5本を提供することを発表した。首里城の復元が無事に完成し、一日も早く元の姿に戻るよう期待している。
首里城は、2019年10月に発生した火災で、正殿をはじめ9施設が焼失した。木造建築だった首里城には台湾ヒノキが使われていたため、首里城再建に際して、日本から、台湾ヒノキを提供する可能性について交渉があった。
台湾では、天然林のヒノキについて長らく伐採が禁止され、人工林のヒノキは、農業部林業および自然保育署が管理することとなっている。森林環境の生態系を維持・保護するため、同署では定期的に間伐を実施、間伐材を貯木場に保管している。中華民国外交部(日本の外務省に相当)と農業部(日本の農林水産省に相当)など関連省庁による協議の結果、政府は「国有林産物処分規則(国有林産物の処分に関する規則)」および「国際合作発展法事務捐款及実物贈与処理弁法(国際協力開発法に基づく寄付金および贈与品の取り扱いに関する措置)」の規定に従い、台湾の特定林産物の輸出に関する規定に準じて、首里城再建のために台湾産の紅ヒノキ5本を無償供与することに同意した。
今回、台湾が日本に寄贈する紅ヒノキ5本は、2020年に間伐されたもの。紅ヒノキ5本の体積3.86立方メートルに対して、同年の台湾の人工林における紅ヒノキの総生産量は256.98立方メートルに達しており、日本への寄贈は、台湾の紅ヒノキ市場や環境保護に影響を及ぼすものではない。今後の事務手続きとしては、台湾の対日窓口機関である台湾日本関係協会と、日本の対台湾窓口機関である日本台湾交流協会が贈呈目録を交わすことになる。その後、日本側が台湾の関連規定に従って、農業部林業および自然保育署へ輸出承認書類の発行を申請し、税関申告の処理を業者に委託して輸出手続きを行う。
台湾における新型コロナ感染爆発のさなか、日本はすぐさま420万回分のワクチンを供与し、台湾における防疫対策を支援して台湾社会や市民が安定するよう導いた。今回の台湾による首里城再建用ヒノキの贈与決定は、台湾と日本の友好関係が緊密なことを示すだけでなく、相手が助けを必要としているときに手を差し伸べるという「善の循環」が存在することを示すものである。