内政部(日本の省レベル)が6日、人身取引(人身売買)の防止に関する国際ワークショップを開催し、陳建仁行政院長(=首相)、内政部の呉容輝政務次長(=副大臣)、フィリピンのNorman Garcera Tansingco入国管理局長及び駐台代表らが開幕式に出席した。ワークショップには各国の代表や政府機関の関係者、民間団体など約300人が参加し、世界的な電信詐欺(特殊詐欺)や人身取引の防止、家事代行業や漁船員、外国人学生など労力の搾取に遭いやすい弱者グループの保護策強化などについて議論した。異なる国々の専門家や学者が人身取引の防止に関する政策の策定経験、捜査方法、裁判での判例などを共有することで対策をより効果的なものとし、基本的人権がさらに行き届いた保護を受けられるようにするのが狙い。
内政部の呉政務次長は、新型コロナウイルスが広がっていた間に犯罪グループが新たな手法を絶えず生み出してきたことを指摘、「フェイスブックやツイッター(現・エックス)、LINE、ショートメッセージなどで『高給、簡単、食事・宿泊・航空機チケットこみ』などの話術を巧みに使い、国民を海外での労働に誘い出した末、強制的に電信詐欺に従事させた」と説明した。台湾ではこうした人身取引の犯罪グループを壊滅させ、被害者の権益保護を強化するため今年6月14日に蔡英文総統が改正版「人口販運防制法」(人身取引防止法)を公布し、処罰の事例拡大、量刑の強化、被害者支援の多様化と行き届いた保護措置の整備などを進めている。呉政務次長によると、内政部は現在、関連の法律を積極的に起草中で、来年元日の施行を目指している。これらは人権保護の強化と不法行為への厳格な対処に利するという。
呉政務次長は、人身取引の防止には各国のやり方を総合して取り組む必要があるほか、各省庁及び民間組織の力を統合、強化することがさらに大切だとし、これからも効果的な人身取引対策の検討と推進に努め、国内外の法執行機関や国際組織、各国のNGOとの連携を深めて人身取引対策を全面的かつ確実に実行していく考えを強調した。
内政部によれば、今年の国際ワークショップには米国の対台湾窓口機関・米国在台協会(AIT)に所属する米国土安全保障捜査局(HSI)の関係者、イギリス国家犯罪対策庁(NCA)の香港駐在連絡官、ベルギー・アントワープ検察庁の検察官、移民局人身取引部の連絡官、韓国刑事政策研究院(KIC)の上級研究員、日本の京都大学の副教授ら8カ国12名の政府関係者、現場の実務者、学者らが一堂に会して交流するとともに貴重な経験を共有した。内政部では、台湾と他国の政府もしくは国際組織との結びつきを強化し、国内における官民の協力関係を深めるのに有益だとしている。