2025/06/22

Taiwan Today

外交

李外交部次長がスウェーデン紙に、中国による台湾への野心に対する世界の関心促す

2023/10/03
外交部の李淳政務次長(左)が9月1日にスウェーデンのメディアから受けたインタビュー内容が9月30日に配信された。李政務次長はこの中で、中国の台湾に対する野心に世界が関心を持つよう促した。右はスウェーデンの全国紙「アフトンブラーデット」の記者。(外交部)
外交部(日本の外務省に相当)の李淳政務次長(=副大臣)が9月1日にスウェーデンのメディアから受けたインタビュー内容が9月30日に配信された。インタビューしたのはスウェーデンの全国紙「アフトンブラーデット(Aftonbladet)」の記者、Wolfgang Hansson氏で、インタビュー内容は「Ministern om invasionshotet: “De försöker skrämma oss」(中国は侵略の脅威で台湾を脅そうとしている)と題され、同紙の公式ウェブサイトに特集記事と動画で掲載された。
 
この中で李政務次長は、「台湾海峡の中間線は長らく両岸の境界とみなされてきたが、中国はこのところ絶えず軍艦や軍機を派遣してそれを越えさせ、現状の改変を図っており、それによって台湾に心理的プレッシャーをかけ、台湾の人々を脅迫している」と批判。中国は両岸の立場の違いを内部的な政治問題とみなして「他国は介入しないように」と要求、スウェーデンをはじめとする国々に台湾とはいかなる関係も築かないようにと説得を試みていると指摘した。そして李政務次長は、こうした行動の狙いは台湾を威圧し、台湾が中国の要求に屈するよう仕向けることだと訴えた。
 
李政務次長はさらに、中国が台湾に対して採るグレーゾーン戦略は低い政治コストで戦争と似た効果を生むと分析。その例として中国が台湾産パイナップルやマンゴーなどの農産物の輸入を禁止して台湾を経済的に脅迫していることを挙げた。続けて李政務次長は、中国は来年1月に台湾で行われる総統選挙に干渉しようと、軍機や軍艦を台湾周辺に送り込んだり、軍事演習を行ったりしているほか、ニセ情報とサイバー攻撃を用いて、「この候補者が当選したならば両岸関係はより不安定になる」と脅し、選挙結果への影響という目的を果たそうとしていると解説した。
 
李政務次長は、中国は国際社会において台湾を孤立させるため手段を選ばず、国際組織で重要なポストに就くことで台湾の参与を阻もうとしていると指摘。世界保健機関(WHO)を例に、「台湾はかつて何年もWHO総会(WHA)にオブザーバーとして参加していた。しかし近年は中国が妨害する中、台湾は新型コロナウイルスの対応で世界から称賛されていたにもかかわらず、やはり総会参加はかなわず、新型コロナを防いだ経験を世界と共有出来なかった」と悔しがった。
 
一方、ロシア・ウクライナ戦争について李政務次長は、「この戦争は軍事力と経済力が戦勝のカギではなく、固い自衛の決意と理念の近い国々によるサポートがあれば小国でも強大な敵に抵抗できることを証明した」と強調。ウクライナと台湾には共通点が多くあり、台湾は積極的に戦争に備え、武器購入のプロセスと人民の心の備えを急ぐ必要があると指摘すると共に、「台湾がまず自己防衛の決意を示さなければ世界の支援は得られない」という見方を示した。李政務次長はまた、ロシア・ウクライナ戦争について、「台湾に対して武力行使することの代償を中国に見直させ、台湾侵攻の難度が従来の予測よりずっと大きいことを理解させたのでは」と述べた。
 
スウェーデンの「アフトンブラーデット」は1830年創刊で、同国で最も長い歴史を持つ全国紙の一つ。1日のアクセス人数は400万人近くで、スウェーデン及び北欧での世論に極めて大きな影響力を持つという。
 
 

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