蔡英文総統が16日午後総統府で、米国の対台湾窓口機関・米国在台協会(AIT)のローラ・ローゼンバーガー(Laura Rosenberger)理事長と会談した。ローゼンバーガー氏が訪台するのは今年3月の理事長就任以来3度目。
ローゼンバーガー理事長は前週、米ワシントンのシンクタンク「Global Taiwan Institute(GTI)」が開いたシンポジウムで台米関係に言及、米国は既存のパートナーシップを強化すると同時に将来に向けた計画も希望しているとして、経済貿易、防衛、国際参与での台米協力の方向について語った。
蔡総統はそれを踏まえ、「ローゼンバーガー理事長の言う通り、台米互いに利益のある貿易と投資の関係強化こそが最重要任務だ」と述べ、台米の新たな貿易協議の枠組みである「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」の第1段階の協定がすでに署名を終え、第2段階の交渉も8月に始まったことを歓迎、双方が積極的に取り組むことで今後の交渉がスムーズに進むことに期待した。
蔡総統はまた、バイデン政権が台湾の国防ニーズを高度に重視し、台湾への武器売却の常態化を着実に進めて台湾の自衛力強化を助け、地域の平和と安定を共同で守っていることに感謝。そして、「台湾も国防力を引き続き高めていく」として、軍機と潜水艦の国産化が徐々に成果を挙げるようになっていることを説明した。
蔡総統は、台米は堅実なパートナー同士であり、ローゼンバーガー理事長による支持の下、双方は各分野でパートナーシップを深化させ、インド太平洋地域における数々の課題に共に向き合っていけるはずだと強調。そして、ローゼンバーガー理事長の訪台が実りあるものになることを祈ると共に双方の今後の交流に期待を示した。
蔡総統に続いてあいさつしたローゼンバーガー理事長は、米台がこの地域ならびに台湾海峡の平和と安定を享受していることは双方の利益に関わるとした上で、米国と台湾との関係はずっと「一つの中国政策」と一致しており、それは「台湾関係法」、「米中の三つの共同コミュニケ」、「台湾への六つの保証」に基づくものだと説明。さらに、「このことは過去40年来同じである」と述べた。
ローゼンバーガー理事長はそして、米国の台湾に対するコミットメントは岩のように堅固で、原則に基づき、党派を超えたものだとあらためて指摘、「米国はこれからも友人と共に立ち続ける。台湾も現状維持に努めるよう望んでいる」と述べた。
ローゼンバーガー理事長は、米国は台湾の政府が自己防衛能力について多くの努力をしていることを認めているとし、国防予算の増額や予備役の軍事力改革、義務兵役の調整などを評価した。
ローゼンバーガー理事長は、台湾の国際参与がさらに広げられるようにしたいと希望すると共に、台湾及び両岸関係の平和と安定の重要性を改めて指摘。「台湾は全世界の経済面で非常に重要な役割を担っているほか、『民主主義の灯台』だ。インド太平洋地域における重要なパワーであり、世界の『善のパワー』でもある。台湾はアジア太平洋経済協力(APEC)をはじめとする多くの国際組織に貢献している」と台湾を称え、11月にサンフランシスコで開かれるAPECの首脳会議(AELM)に台湾が参加することに大いに期待した。