2025/06/26

Taiwan Today

外交

呉外交部長がタイメディアに対し、民主主義国は中国の野心を警戒せよと呼びかけ

2023/11/08
呉釗燮外交部長(右)が1日、タイの公共放送タイPBSの取材に応じた。インタビュー内容は3日夜、「台湾の外相が中国の台湾に対する武力統一の動きについて語る」と題されて放送された。(外交部)
呉釗燮外交部長(=外務大臣)が1日、タイの公共放送タイPBSの取材に応じた。インタビューは国際ニュースのキャスター、Phongsathat Sukhaphong氏によって行われ、インタビュー内容は3日夜のニュース番組の中で、「台湾の外相が中国の台湾に対する武力統一の動きについて語る」と題されて放送された。動画投稿サイト、YouTubeでは完全版が配信されている。
 
呉外交部長は、中国は現在、軍事的・経済的威圧、及び国際的な孤立化といった様々な手段で台湾に屈服を迫ることで、「戦わずして勝つ」ことを目指していると指摘。その上で、「中国の挑発に遭う中で台湾は常に責任ある立場を保ち、衝突を誘発する一方になってしまうことを避けている。また、対等で尊厳が守られることを前提とする両岸対話を望んでいる。蔡英文総統が今年の双十国慶節(中華民国の建国記念日に相当)で述べたように、『両岸にとって平和は唯一の選択肢』だ。台湾は戦争の防止に努めていく。また、台湾海峡での戦争は今のところ眼前に迫っているわけではなく、避けられないわけでもない」と述べた。
 
呉外交部長は、中国は台湾への野心を隠そうとしていないとし、その例として習近平氏が2019年1月2日に発表した声明で、台湾が「一つの中国原則」の下で「一国二制度」の統一モデルを受け入れるよう要求したことを挙げ、「台湾を第二の香港にしようとしたのだ」と分析した。呉外交部長は、「しかし台湾人民は民主的で自由なライフスタイルを断じて放棄せず、香港の二の舞になることを明確に拒否した。台湾人民は台湾防衛は自分たちの責任だと考えており、政府は国防予算の拡大や防衛装備の調達、軍事改革の推進のほか、人員の訓練や非対称戦争の戦略も強化して防衛力の向上に努める」と説明した。
 
呉外交部長はまた、質問に答える形でロシア・ウクライナ戦争にも言及。台湾はロシアが不法にウクライナに攻め入ったことを非難し、対ロシア制裁を実施しているほか、ウクライナへの人道支援についても政府と民間で積極的に取り組んでいることを説明。さらに、台湾はロシア・ウクライナ戦争から貴重な経験を数多く得たとして、ウクライナの人々が自由と主権を守り抜こうとする勇気と決意は学ぶべきものと評価。また、ウクライナ軍が用いた非対称戦争の戦略がロシア軍に対抗する上で効果的だったことも「見習う価値がある」と述べた。そして、多くの国がウクライナに軍事的、もしくは人道的な援助を行ったことは国際社会によるサポートの重要性を際立たせたとして、「台湾も国際社会の支持取り付けを積極的に進め、米国、欧州連合(EU)、カナダ、オーストラリア、日本など理念の近い民主主義国との関係を深めていく」と語った。
 
呉外交部長は、全世界の貨物のうち50%は台湾海峡を通過していること、世界の先進半導体の90%が台湾で生産されていることに触れ、台湾海峡でかりに戦争が起きたならば全世界のサプライチェーンは中断され、国際社会及び世界経済に重大な影響を及ぼすと懸念した。呉外交部長はさらに、国際社会は中国が台湾に対して武力行使した場合の深刻な影響に気づいたため公の場で台湾を支持し始めたと強調。国際社会は中国の武力を用いた一方的な現状変更に反対する立場を明白にし、台湾海峡の平和及び安定と、世界の安全保障と繁栄とが切り離せないことを重ねて訴えるようになっていると指摘、これらは中国への強烈な警告ならびに抑止力になっているとの見方を示した。
 
 

ランキング

新着