第91回「国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)」年次総会が11月28日から12月1日にオーストリアのウィーンで開催された。台湾はICPO年次総会へのオブザーバー参加を目指していたが、今回も参加が見送られた。しかし、台湾の参加を推す国際社会の声は大きく、最終的には60か国以上の行政機関、立法機関、複数の国の国会議員が参加する議員連盟、それに各界のオピニオンリーダーなどが台湾のICPO参加を支持する姿勢を示した。これは、国際犯罪に対抗するため、グローバルなシステムに台湾が加わることの必要性を肯定する国がますます増えていることを意味している。中華民国(台湾)外交部は4日、ニュースリリースを発表して、国際社会の強靭な支持に「心から感謝する」と伝えた。
【正式な外交関係を持つ国々の対応】
今年は、中華民国(台湾)と正式な外交関係を持つエスワティニ王国、パラオ、セントクリストファー・ネービス、パラグアイ、ベリーズ、セントビンセント及びグレナディーン諸島、マーシャル諸島の7か国が、ICPO年次総会において台湾のICPO参加を支持する発言を行った。これは各国代表の注意を引き、ICPO年次総会へのオブザーバー参加を目指す台湾の存在感を示すことにつながった。
【近い理念を持つ国々の対応】
台湾と近い理念を持つ国々も積極的に、台湾がICPOを含む国際組織に参加することを支持する発言を行った。例えば主要7か国(G7)外相声明や欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表の発言、仏豪2プラス2(外務・防衛閣僚会合)、英豪2プラス2(外務・防衛閣僚会合)、米豪2プラス2(外務・防衛閣僚会合)、英日2プラス2(外交・防衛閣僚会合)などのあとに出された共同声明、米国とリトアニアの外相会合による共同声明、日本とフランスがこのほど発表した「日仏協力の新たなロードマップ(2023-2027年)」、それにオランダのハンケ・ブラウンス・スロット外相が国会議員からの質疑に応える形でも、台湾の国際参与を支持する発言を行っている。
【各国の立法機関や議員連盟の対応】
各国の立法機関や、複数国の国会議員が参加する議員連盟などによる台湾支持の声も非常に大きかった。米国では上院議員が党派を超えて「台湾関係強化法案」を提出したし、米連邦議会のリーダーが台湾に友好的な声明を発表した。米国の32の州の上院・下院では、台湾に友好的な議案を可決した。チェコ上院、ポーランド国会の親台湾派議員連盟、ブラジル下院公衆安全委員会、台湾グアテマラ友好協会、セントクリストファー・ネービス国会などでも台湾に友好的な議案が可決された。「対中政策に関する列国議会連盟(Inter-Parliamentary Alliance on China, IPAC)」は今年9月、チェコの首都プラハで開いた年次総会で「プラハ・コミュニケ」を採択し、台湾がICPOを含む国際組織やメカニズムに有意義な参加ができるよう支持する立場を改めて示した。このほか、ブラジル、アイルランド、イタリア、ラトビア、エストニア、スペイン、メキシコ、チリ、韓国、フィリピン、コロンビア、南アフリカなどの国会議員が個別あるいは連名で書簡を発出し、台湾のために発言した。
【台湾の対外プロモーション】
海外に向けたプロモーション(宣伝)としては、内政部警政署刑事警察局の周幼偉局長が台湾のICPO参加に理解を求める文章を執筆し、各国のメディアに寄稿した。また、在外公館による寄稿、在外公館トップの地元メディアによるインタビュー、それに台湾に友好的な報道などを加えると合計162本に上った。また、外交部は内政部警政署刑事警察局が制作したショートムービー(英語、アラビア語、フランス語、スペイン語字幕版)を、外交部や在外公館のSNSなどで公開。現在までの再生回数は87万回に達している。この動画はまた、豪州駐台弁事処(台湾におけるオーストラリア大使館に相当)がSNSでシェアしている。
ICPO年次総会が開催されたウィーンの国際空港や年次総会の会場周辺には、大型の電子看板を利用してICPO参加を求める台湾のスローガン「A Safer World, Taiwan Can Help」を含む広告を放送し、各国の代表に理解を求めた。
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国際犯罪に対応するには、グローバルな協力が不可欠だ。そこに空白や抜け穴を作ってはならない。ICPO(インターポール)は各国の警察機関の連携を促す専門性の高い組織である。そこに政治的配慮を挟むべきではないし、いかなる利害関係者の参与も排除すべきではない。外交部は、ICPOが専門性と中立という原則に則り、世界の法執行のネットワークに一日も早く台湾を組み込むことでより安全な世界を構築できるよう願っている。