2025/05/21

Taiwan Today

外交

呉外交部長がドイツ語ドキュメンタリーで、世界への中国の脅威と台湾の重要性を説明

2023/12/11
呉釗燮外交部長が、スイス・ドイツ・オーストリアによるドキュメンタリーの取材に応じ、民主主義陣営の団結を強めて権威主義の拡張を阻止しようと訴えた。写真は取材を受ける呉外交部長(左)。(外交部)
呉釗燮外交部長(=外務大臣)が今年8月30日にスイスのドイツ語による公共放送局「SRF」と、ドイツ、オーストリア、スイスの公共放送局が共同で提供する衛星放送プログラム「3sat」のドキュメンタリー監督、Dave Leins氏の取材に応じた内容が6日夜、「3sat」で初放送されると共に同メディアの公式ウェブサイトで配信された。タイトルは、「Taiwan - Chinas Drohung an die Welt」(世界に対する中国の脅威と台湾)。
 
呉外交部長は、台湾は自由民主の国であり、アジアで最も自由な国家の一つに名を連ねるとした上で、過去70年にわたって中国の権威主義による脅威にさらされる中、民主主義を守り抜く最前線にある台湾は絶えず自衛力を強化し、国民の国家防衛の意識を高め、国際社会の支持を獲得してこそ、台湾に軍事侵攻しようとする中国の企てを抑止できるのだと語った。
 
呉外交部長はまた、中国の体制は民主主義国と異なり、政策は指導者個人の利益によって左右されるので予測が困難だと指摘。一方で呉外交部長は、「台湾は世界のサプライチェーン上、不可欠な役割を果たしている。世界の先端半導体の90%が台湾で生産され、全世界の貨物の50%が台湾海峡を通っているなど台湾は地政学的にもハイテク産業のサプライチェーンの面でも高度な重要性を持っており、武力で攻撃されたならば間違いなく世界経済に深刻な影響をもたらす」と説明した。
 
呉外交部長は台湾では来年1月13日に次期総統選挙が行われることから中国はサイバー攻撃やニセ情報、認知戦などのハイブリッド戦で選挙への介入を進めていると強調。しかし台湾は長年の豊富な経験を以って中国の浸透工作とその影響に慎重に対抗すると同時に、台湾と同様に中国やロシアによるニセ情報の被害を受ける他の国々と対処法を共有して緊密な連携を確立していると自信を示した。
 
また呉外交部長は、中国の野心は台湾にとどまらず、今ではどの国も中国の権威主義拡張の動きを警戒し、台湾海峡の一方的な現状変更への反対、ならびに台湾海峡の平和と安定は世界の安全保障と繁栄に関わるとする立場を続々と表明するまでになったと指摘。さらに米国がフィリピン、日本、韓国、オーストラリアなど主要同盟国とインド太平洋地域で軍事演習を行っていること、日本の防衛予算が向こう5年で倍増されること、キャンプデービッドにおける米日韓首脳会談で安保協力を新たな高みに引き上げることになったことなどはいずれもこれらの国々が地域の情勢に対応する準備を進めていることを表しており、中国による台湾侵攻の企てに対して大きな抑止力になっているはずとの見方を示した。そして呉外交部長は、ドイツ、スイス、オーストリアに対して台湾との連携強化を呼びかけ、民主主義陣営の団結を強めて共同で権威主義の拡張を阻止しようと訴えた。
 
このドキュメンタリーではスイス国会で親台湾派議員グループの代表を務めるFabian Molina議員、スイスとドイツの学者、台湾の黄偉峰駐スイス代表(大使)及び台湾の産業界・学術界の重要人物らを取材し、台湾の歴史や民主主義の発展、全国民による国防、台湾海峡の安全保障、サプライチェーンの強靭性などについての見方を伝えている。
 
 

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