2025/06/08

Taiwan Today

外交

呉外交部長、台湾とドイツの連携強化が台湾海峡の平和と世界経済の繁栄につながると力説

2023/12/20
外交部の呉釗燮部長(外相)は11月28日、ドイツの主要メディア8社による合同取材を受け、台湾とドイツの連携強化を訴えた。(外交部)
外交部の呉釗燮部長(外相)は11月28日、ドイツの主要メディア8社による合同取材を受けた。この取材で呉部長は、中国の台湾に対する軍事的脅威、国際社会における台湾の重要性、台湾とドイツの関係などについて一歩踏み込んだ説明を行った。取材の内容はドイツを代表する日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)』、『ターゲス・シュピーゲル(Tagesspiegel)』などが順次報道し、ドイツ並びに中東欧のドイツ語圏諸国から高い関心が寄せられている。呉部長の発言の概要は以下のとおり。
 
【中国の軍事的脅威】
中国の台湾に対する軍事的脅威は強まる一方だ。しかし、我々の分析によれば、中国は現在のところ、大挙して台湾へ攻め込むような具体的な準備はしておらず、「不戦而屈人之兵(戦わずして人の兵を屈する)」ことを企てている。また、台湾に対してサイバー攻撃、フェイクニュースの拡散、認知戦などの「ハイブリッド戦争」を仕掛けることで、民心をかく乱し、社会を分裂させ、そして台湾の総統選挙(2024年1月13日投開票)に介入しようとしている。それが意図するのは、台湾の人々に抵抗を断念させ、自ら中国の一部になろうと仕向けることだ。台湾の人々はすでに、こうした手法に高い警戒心を抱いている。政府も対策や宣伝を強化し、中国の思い通りにさせないように取り組んでいる。
 
【台湾の重要性】
台湾は半導体のサプライチェーンや世界的航路の要所として重要な地位を築いている。ゆえに、中国が台湾に脅威を与えることは、その他の国々の利益にも影響を与えることになる。しかも、中国の野望は台湾だけにとどまらない。それは南シナ海、東シナ海、インド洋、太平洋にまで拡大している。台湾は、権威主義と対抗する最前線に位置する。もし台湾が防衛に失敗すれば、その他の国々も被害を受けることになるだろう。
 
【団結を強める民主国家】
世界の関心がウクライナ情勢に向けられる中、米国、欧州、カナダ等の国々の台湾に対する支持は依然として強く、さらには増長を続けている。G7サミット(主要国首脳会議)であれ欧州連合(EU)首脳会議(サミット)であれ、台湾海峡の平和と安定は、各国が関心を寄せる議題となっている。中国は、台湾と諸外国との関係を切り離そうとやっきになっていたが、いずれも失敗に終わっている。中東欧諸国やバルト三国なども台湾に友好的な姿勢を示すようになっている。中国の拡張主義は、民主主義を分裂させることなく、かえってその団結を強めることになっている。
 
【台湾とドイツの関係】
台湾もドイツも自由と民主主義の価値を共有している。近年、世界の民主陣営と専制主義の体制が対抗する構造の中、欧州諸国は中国貿易のリスクを意識するようになっている。もしドイツが「デリスキング(de-risking、リスク低減)」の政策をとろうとするなら、台湾はその恩恵を間接的に受けることになるだろう。
 
ドイツ政府が、台湾海峡の平和と安定の維持を支持してくれていることに感謝する。また、半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)がドイツ東部ザクセン州ドレスデンに欧州初の工場を建設することを決めており、今後台湾とドイツの経済・貿易関係はさらに緊密になるだろう。双方はさらに一歩進んで、よりハイレベルの政府間交流を行い、双方の利益に関係する議題について議論すべきだろう。
 
★★★★★
 
合同取材に参加したドイツのメディアは日刊紙の『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)』、『南ドイツ新聞(Süddeutsche Zeitung)』、『ターゲス・シュピーゲル(Tagesspiegel)』、『ノイエ・オスナブリュッカー・ツァイトゥング(Neue Osnabrücker Zeitung)』、『ディ・ヴェルト』、公共放送ラジオ局のDeutschlandfunk、西部ドイツ放送(Westdeutscher Rundfunk)、ニュースサイト「Table. Media」の8社。いずれもドイツ語圏の世論に大きな影響力を持つ。
 

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