ナウル共和国が中華民国(台湾)との断交を決めたことが明らかになり、外交部(日本の外務省に相当)が15日、同国との外交関係終止を宣言した。以下、声明の内容要約。
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中華民国外交部は以下を厳粛に宣言する。
我が国政府は太平洋における国交樹立国・ナウル共和国の政府がこのほど国連総会第2758号決議と「一つの中国」原則などを理由に中華民国と断交することになったと知り、国家の主権と尊厳を守るため同国との外交関係を即時終止することを決定した。双方の協力事業も全面的に停止し、大使館及び技術団などの人員を撤収する。また、ナウルには駐中華民国大使館の閉鎖を要求する。
中国は長年、ナウルの政界要人に積極的に接触、経済援助を用いた誘惑で同国の外交を方向転換させた。ナウル議会は昨年10月25日、当時のラス・ジョセフ・クン(Russ Joseph Kun)大統領の不信任決議案を可決。10月30日にはデイビッド・アデアン(David Adeang)新大統領を選出し、新内閣が発足した。新政権発足後、我が方はただちにナウル側と双方の各種協力事業について積極的に話し合ったが、ナウル側は巨額な経済援助を要求し続けると共に、我が国と中国とがそれぞれ提供する援助計画を天秤にかけた。
我が方は従来からの友情に基づき、最大の誠意を以って可能な範囲での協力計画を提示した。このほか我が国政府は長年、ナウルの国家経済と人民の生活に有利で、国家全体の発展を助ける協力計画を推進してきた。しかしナウル側は中国の誘いに惑わされ、我が国の長年にわたる協力と友情を顧みず、中国と国交樹立に向けた交渉を行ったばかりでなく、中国に合わせていわゆる「一つの中国」原則を操り、国連総会第2758号決議に関するでたらめな論理を誤って引用して見せた。政府はこれに心痛と遺憾を感じると同時に強く非難するものである。
世界の多くの民主主義国が台湾における総統選挙の円滑な実施と民主主義の勝利を祝っている今、北京当局がこのような手段で台湾を威圧したことは国際社会の秩序と安定に衝撃を与えている。これはすなわち民主主義の価値に対する報復であり、国際秩序に公然と挑戦することでもある。
このような責任は当然、北京が負わなければならない。我々は北京当局に対し、対抗を放棄して国際秩序のレールに立ち戻り、互いに利益のある局面に向けて台湾や地域各方と共に努力するよう呼びかけるものである。
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総統府の林聿禅報道官も15日、同様のコメントを発表、ナウル側は北京による誘惑を受け、ナウルと台湾双方の人民の利益及び地域の安定に寄与しない、誤った決定をしたとして、「我が国は強烈な遺憾の意を表明する」と述べた。
中華民国(台湾)とナウルは1980年に国交を樹立。しかし、2002年7月21日、ナウルは債務問題を理由に一方的に中国と外交関係を結び、台湾は23日に国交の断絶を宣言。その後ナウルは中国が約束した援助が行われないことから、2005年5月14日に台湾との外交関係を回復していた。