台湾の非政府組織(NGO)は海外でも積極的に活動を展開している。中華民国(台湾)外交部は今年も各分野で台湾のNGOと連携し、官民一体となって積極的に外交に取り組み、台湾が引き続き国際社会で声をあげ、その影響力を発揮できるようにしていきたい。このため、今年も「女力外交(フェミニスト外交)」プロジェクト、「国際青年大使交流計画」、「NGO幹部及び若者の国際非政府組織(INGO)インターンシップ派遣計画」、「NGOリーダーズフォーラム」、「NGO国際協力人材育成ワークショップ」など、民間団体への協力や若者の国際参与に重点を置く。また、国際非政府組織(INGO)が台湾で拠点を開設するよう誘致に力を入れ、台湾と海外の民主国家のコミュニティによる連結強化を図る。外交部のNGO関連の業務について、今年の展望は以下のとおり。
■「女力外交(フェミニスト外交)」プロジェクト
世界の女性コミュニティの年次行事である「国連女性の地位委員会(The Commission on the Status of Women, CSW)」第68回年次会合(CSW68)が今年3月11日から22日まで米国ニューヨークで開催される。外交部は現在、女性のエンパワーメント促進に取り組む台湾のNGOと協力し、この期間中にニューヨークで「台湾ジェンダー平等ウィーク」と銘打った「フェミニスト外交」プロジェクトを実施する用意を進めている。同時に、「女性の経済的エンパワーメントの促進」を主軸とし、台湾を主体とするフォーラムや、台湾のウーマンパワーの文化体験、ジェンダー・イノベーション・ナイトなど一連の活動を開催することで、各国のパートナーと官民連携して協力し、世界の女性の経済的エンパワーメントを強化し、国際社会に対して台湾におけるジェンダー平等の取り組みの成果をアピールしたい考えだ。
■「国際青年大使交流計画」
若者から高い人気を誇る「国際青年大使交流計画」を引き続き実施する。2023年はこの計画に初めて「料理組」を加えた。料理を得意とする若者が参加することで、訪問したカリブ海の国交樹立国、セントルシアとの交流に新たな活力を注入し、両国の友好を増進することに成功した。頼清徳副総統は昨年12月、総統府で青年大使の表敬訪問を受けた際、訪問団が任務を円滑に遂行したことを高く評価した。頼副総統は、成功した民間外交によって、国際社会がより台湾を理解し、台湾の若者の活力を見ることができたと喜んだ。外交部は今年も上期に同計画の詳細を発表し、派遣者の選抜や事前研修などを行う。また、8月下旬から9月下旬ごろに、中華民国(台湾)と正式な外交関係を持つ国へ派遣する。
■「NGO幹部及び若者の国際非政府組織(INGO)インターンシップ派遣計画」
外交部が昨年実施した「NGO幹部のINGOインターンシップ派遣計画」と「若者のINGOインターンシップ計画」では、「中華民国智障者家長総会」と「台湾科学媒体協会」から幹部2名、若者5名を選抜し、英国、ベルギー、日本、米国、ケニア、タイなどに派遣し、それぞれのINGOで研修(インターンシップ)を受けさせた。派遣者は現地でINGOの経営管理などの実務を学んだり双方の交流の基礎を築き、帰国後には台湾のNGOに対する提言をまとめるなどしてNGOの業務の質を高めた。外交部は今年もこのプロジェクトを実施し、台湾のNGOで働く人や若者に海外インターンシップの機会を提供する。
■「NGOリーダーズフォーラム」、
外交部が主催する年に1度のNGOとの対話のプラットフォーム「NGOリーダーズフォーラム」は、今年で5回目を迎える。外交部は昨年11月、「Conference of NGOs in Consultative Relationship with the United Nations, CoNGO(中国語表記は具聯合国諮詢地位的非政府組織会議)」のLiberato Bautista会長や「International Federation of Women in Legal Careers, FIFCJ(中国語表記は国際女法律人聯盟)」のDenise Scotto副理事長らを台湾に招き、講演を行った。このフォーラムには国内外のNGO関係者など約100人が参加した。今年も外交部は、国内外の最新のトレンドを踏まえた上で、このフォーラムを開催し、国内外のNGOとの交流や、政府と市民社会のパートナーシップを深化させ、台湾のNGOの国際参与のエネルギーを高めたい考えだ。
■「NGO国際協力人材育成ワークショップ」
外交部は昨年12月、「官民連携によって台湾の新たな強靭性を示す」をテーマとして、台北市と高雄市で各1回の「NGO国際協力人材育成ワークショップ」を開催した。多くのNGO幹部を招き、コロナ後の国際交流の経験について語ってもらった。また、理論と実務を兼ね備えた座学を通して、受講者の国際業務に関する関連知識をブラッシュアップした。外交部は今年もこのワークショップを開催し、国際業務に関心を持つNGO関係者や若者を育成し、台湾のNGOの国際参与のネットワークにつなげていきたい考えだ。
■その他
外交部は今後も、国際非政府組織(INGO)の台湾での拠点開設を重要な政策の一つとする。2020年以降、外交部は関連省庁の規定を整理し、修正することで、ワンストップ方式のバイリンガル行政サービスを提供するなどして、主要な国際非政府組織の台湾拠点開設に力を入れてきた。その結果、これまでに米国の全米民主国際研究所(National Democratic Institute for International Affairs,NDI)など10以上のINGOが台湾に拠点を開設している。今年もさまざまなタイプのINGOを台湾に誘致する。今年はINGOの台湾拠点開設に対するさまざまな措置について見直し、改善するほか、すでに台湾拠点を開設したINGOについても、台湾のNGOと協力の機会を作り、ひいてはこの地域の市民社会や民主社会との連結を強化し、クラスター効果によって台湾をINGOの運営拠点にできるよう後押ししていきたい。