中国側が台湾と事前協議しないまま、台湾海峡を通る航路の運用方式の変更を一方的に宣言したことに対し、外交部(日本の外務省に相当)が1月31日、「最も厳重に非難する」プレスリリースを発表した。以下、その内容要約。
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中国民用航空局は国際民間航空機関(ICAO)の規定を守らず、我が国との事前協議をしないまま1月30日、両岸が2015年にM503、W122、W123の三つの航路について達した合意内容を一方的に取り消した。これは地域の飛行の安全及び平和と安定を著しく損なうと共に台湾海峡の現状と相互信頼関係を破壊するものであり、外交部はこれに対して最も厳重に非難し、中国が直ちに我が国と協議を行うよう要求する。
ICAOの「(Air Traffic Services Planning Manual」第4.2.6節の規定によれば、飛行ネットワークを変更する場合、それがいかなるものであろうが隣り合う全ての飛行情報区(FIR)と調整することになっている。我が国の交通部民用航空局はM503と隣り合う「台北飛行情報区」を管轄する唯一の機関であり、中国側が事前に我が方と協議しないまま、関連の飛行ネットワークの改変を勝手に宣言することはICAOの規定に著しく違反し、さらには中国の無責任な権威主義の本質を際立たせるものである。
中国のこのたびの横暴で理不尽な行い、ならびに我が国の総統選挙後、毎日のように偵察気球を我が国の空域に送り込んでいることはすでに地域の飛行の安全と両岸関係の平和と安定に深刻な影響をもたらし、台湾海峡の現状変更にかかわるものである。外交部は国際社会に対し、このことを直視し、中国が新たな航路の実施について直ちに我が国と協議し、起こりうる飛行リスクを制御するよう共同で要求し、さもなくば中国は全ての責任を負わなければならないと伝えるよう呼びかける。
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W122は中国の福州から東に向かう。同じくW123は同アモイから東に向かう航路。これまでこれらの場所からは北方を迂回する形だったが、今後は直接東に向かいM503につながることになる。M503は中国側によって、台湾海峡の「中間ライン」に沿ってラインの西側約4.2海里(約7.8キロメートル)に設けられているが、これまでは西側約6海里(約11キロメートル)で運用されていた。W122とW123で航空機が中国から台湾の方向に直接飛んでくることになるほか、M503が従来よりも「中間ライン」に近づくことで、台湾にとっては早期警戒がいっそう難しくなるものと見られている。