欧州議会が欧州連合の共通外交・安全保障政策(CFSP)と共通安全保障・防衛政策(CSDP)の執行報告書を可決、中国が台湾海峡の緊張をエスカレートさせていることに懸念を表明したことなどに対し、外交部(日本の外務省に相当)が2月29日にプレスリリースを発表して歓迎と感謝の意を表明した。以下、その内容要約。
★★★★★
欧州議会が2月28日、欧州連合(EU)の共通外交・安全保障政策(Common Foreign and Security Policy, CFSP)と共通安全保障・防衛政策(Common Security and Defence Policy, CSDP)の執行報告書を賛成多数で可決し、中国が台湾海峡の緊張状態をエスカレートさせていることを改めて懸念すると共に、EUが台湾との全面的なパートナーシップを深化させることへの支持を表明した。外交部はこれに対し、心からの歓迎と感謝の意を表明する。
共通外交・安全保障政策の執行報告書では中国が台湾を領土とする主張には国際法上の基礎が全くないと指摘、台湾と中国は互いに隷属しないとしたほか、台湾において選挙で選ばれた政府のみが台湾の人民を代表することが可能だと訴えた。同報告書はまた、台湾はEUにとってインド太平洋地域での重要なパートナーであり民主主義の盟友だとし、EU及びEU加盟国が台湾とより緊密な協力をしていくよう促し、特に国際的なサプライチェーン強靭化に関して連携していく必要性を指摘した。欧州議会はまた、中国が依然として台湾の国際参与を妨害していることを非難、欧州委員会とEU加盟国は台湾の世界保健機関(WHO)、国際民間航空機関(ICAO)、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)など国際組織への有意義な参与を支持するよう呼びかけた。
一方、共通安全保障・防衛政策の執行報告書では「台湾への武力行使を放棄しない」とする中国の指導者の言論を強く批判すると共に、中国が台湾に対して軍事的な挑発及び様々なグレーゾーン戦略を引き続き仕掛けていることを懸念、とりわけサイバー攻撃や悪意あるニセ情報の散布で、台湾の民主主義及びガバナンスに対する各界の信頼を損なおうとしていることを警戒した。欧州議会はEU及びEU加盟国が世界のパートナーと手を取り合い、民主主義の台湾を支持するよう呼びかけると共に、加盟国がEUの「インド太平洋地域における協力に関する戦略」の下、台湾海峡への自由な航行任務を増やすこと、そして台湾が持つサイバー攻撃対策の経験と専門能力を借り、安全保障に関する交流ならびに連携を深めることを奨励した。
欧州議会は今会期(2019~2024年)を通じて台湾支持の姿勢を強めており、過去5年間に台湾に友好的な決議を40回以上行ってきた。昨年12月には対中関係に関する報告書を可決して中国が国連総会第2758号決議を曲解していることに強く反対した。今回の共通外交・安全保障政策執行報告書はそれに続くもので、台湾と中国が互いに隷属しないこと、ならびに台湾で選挙で選ばれた政府のみが台湾人民を代表できることを初めて強調した。これは台湾における自由民主への高度な評価を表しており、我が国の政府及び人々にとって重要な意義を持つものである。
欧州議会は2021年に初めて、「偽情報を含む、EUのすべての民主的プロセスへの外国の干渉(foreign interference in all democratic processes in the EU, including disinformation)に対応するための特別委員会」(INGE)の代表団を公式に台湾に派遣して以来、国際貿易委員会(INTA)、外交委員会(AFET)のメンバーも訪台させるなど、台湾とEUとの実質的なパートナーシップ深化、ならびに台湾海峡の平和と安定の維持に対する高度な重視と支持を具体的な行動で示している。欧州議会は台湾とEUとのパートナーシップ拡大の先鋒かつ重要な基礎としての役割を演じている。外交部はこれに心から感謝すると共に、欧州議会との各種連携と交流をこれからも深め、台湾とEUとの関係の新たなチャプターを共同で切り開けることを期待する。