2025/04/30

Taiwan Today

外交

呉外交部長が米メディアに「米国のウクライナ支援停止は中国の台湾への野心強める」

2024/04/01
呉釗燮外交部長(写真)が3月28日、米日刊紙「ニューヨーク・タイムズ」の取材を受け、「米国の対ウクライナ支援が止まれば中国の台湾侵攻の野心は強まる」と警戒した。(外交部)
呉釗燮外交部長(=外務大臣)が3月28日、米日刊紙「ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)」で外交問題を担当する記者、Edward Wong氏のインタビューに応じた内容の一部が同日、「Taiwan’s Top Diplomat Says U.S. Aid to Ukraine Is Critical for Deterring China」(台湾の外交トップ、「中国抑止には米国の対ウクライナ支援が不可欠」と語る)のタイトルで同紙に掲載された。
 
呉外交部長はこの中で、「米国が対ウクライナ支援を止めるべきか多くの人が議論しているが、台湾は断固反対する。世界情勢は互いに関係しており、単一の戦場のみに目を向けてはならないからだ。もしロシアがウクライナの領土をより多く占領したならば、それは権威主義国家の勝利とみなされる。現在、ロシア、中国、北朝鮮は連帯した状態にある。このため米国のサポートは権威主義国家の侵略に遭っている国にとって非常に重要なのだ」と語った。
 
呉外交部長は、台湾の安全保障はウクライナのそれと深く関係していると強調し、米国がウクライナへの軍事支援を止めることは北京当局に政治的な宣伝材料を与え、北京は「米国は信頼すべきパートナーではない」というニセ情報を拡散するだろうと予想。そしてウクライナが敗れた場合、中国は米国の弱点を見出すと共に、「台湾への威圧を続ければ米国やその盟友たちは最終的に手を引くだろう。ロシアに出来るのだから中国にも出来る」と解釈することになると分析、米国の対ウクライナ支援停止は中国の対台湾武力行使の野心の強化につながり、台湾侵攻の可能性もそれによって高まることになると警戒した。
 
中国がニセ情報により民主主義国の団結を揺るがしていることについて呉外交部長は、米軍が2021年にアフガニスタンから撤退して以降、中国が国営メディアやSNSを通じて「米国の約束は全て信用できない」というメッセージを拡散したことに触れ、「当時台湾も大いに『認知戦』をしかけられた」と説明。中国は国際社会においてウクライナ侵攻に関するロシアの言い分の宣伝に協力し、「NATO(北大西洋条約機構)の拡大がプーチン大統領をウクライナ攻撃へと追い詰めた。また、米国のウクライナ支援が最後まで続くことはない」と強調していると説明した。
 
呉外交部長は、権威主義に対抗するためパートナーを求めた一部の中東欧国家はロシア・ウクライナ戦争の間に台湾との関係を強化したと指摘。これらの国々はかつてソビエト連邦の共産主義の統治を受けた関係で民主主義の台湾を支持しているほか、中国による「一帯一路」計画のでたらめな約束と比較して台湾はより多くの実質的な利益をもたらすと判断したと分析した。呉外交部長はその上で、最も重要な要素はやはりロシア・ウクライナ戦争だとし、ウクライナに攻め入ったロシアを支持する中国に対し、台湾は無欲でウクライナを支援していることで、これらの国々は理念の近い国家と連携し、同様の事態を防ぐ必要性を感じたのだと解説した。呉外交部長は、こうした結びつきによって台湾と中東欧諸国は自然と関係を絶えず高めることになったとしている。
 
この報道では最後に、呉外交部長が米国による台湾支持の必要性を強調したことに触れ、「ほかの台湾の政府関係者と一致している」と指摘、今年1月の正副総統選挙で次期副総統に当選した蕭美琴氏は昨年5月、駐米代表(=大使)として同様の見方を示したと紹介している。
 
 

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