外交部は22日、「第43回行政院文化奨」を、それぞれ台湾の有形文化財、視覚芸術、文学など文化分野で卓越した功績があった傅朝卿氏、阮義忠氏、林亨泰氏(故人)に授与すると発表した。「行政院文化奨」は政府が主催するものとしては最高レベルの文化功労賞。授賞式は5月9日に、台北市中山堂光復庁で行われる。
■傅朝卿
国立成功大学建築系(=学科)の元教授。長年にわたり台湾の建築史や建築文化の資産調査、保存、推進などに取り組む。また、海外の新しい概念を取り込み、台湾の文化財保存に甚深な影響を与えた。傅朝卿氏が力を入れる文化財の再利用は台湾にブームを巻き起こし、建築文化や文化遺産の保存の観念を社会全般に広げることとなった。また、台湾の文化財保存の取り組みが、海外と足並みをそろえられるよう積極的に取り組んでいる。
文化部及び国立成功大学の関係者を率いて国連教育科学文化機関(UNESCO/ユネスコ)の諮問機関「国際記念物遺跡会議(ICOMOS/イコモス)」で論文を発表し、台湾における文化財保存の成果を紹介したことがあり、戦後初めてICOMOSで発表を行った台湾人学者となった。
■阮義忠
カメラマン。1980年代以降、カメラのレンズをとおして台湾の人々の目となり、台湾に息づく人文的価値をとらえ、見つめながら、人々の暮らしの中にある貴重な記憶を呼び起こしてきた。その作品はドキュメンタリー写真を主なスタイルとし、人と土地の間に横たわる関係をテーマにしてきた。フランス、米国、メキシコ、リトアニア、スウェーデン、中国、香港、マカオ、台湾などで個展を開いてきたほか、パリ市立近代美術館のような著名な施設で作品が収蔵されている。
■林亨泰
詩人。1924年、日本統治時代の台中州北斗郡(現在の彰化県北斗)で生まれ、2023年9月23日に死去した。日本統治時代から戦後を経て、苦労して創作言語を日本語から中国語に切り替えた、「言語をまたいだ世代」の詩人として活躍した。
林亨泰はその一生を台湾詩壇の「時代性」と「本土化」に捧げた。政治の最も暗い時期にあっても、創作を続けて台湾文学の中断を回避した。台湾文学の大河史に貴重な資産を多く残し、戦後台湾の現代詩の発展において重要な地位を占めた。「モダニズム」を取り入れ、「郷土」、「本土」、「台湾意識」とつながったその文学は、台湾の現代史の発展の縮図と言える。