蔡英文総統と頼清徳副総統は14日、非営利団体「Alliance of Democracies, AoD」(中国語では「民主聯盟基金会」)の招きに応じ、第7回「コペンハーゲン民主サミット」(Copenhagen Democracy Summit)でビデオ演説を行った。AoDは、デンマークの元首相で北大西洋条約機構(NATO)の元事務総長でもあるアナス・フォー・ラスムセン(Anders Fogh Rasmussen)氏が2017年に創設したもの。2018年に第1回「コペンハーゲン民主サミット」を開催し、今年で7回目を迎えた。
蔡総統はビデオ演説の中で、「コペンハーゲン民主サミット」が長年にわたり台湾を支持してきたことに感謝するとともに、台湾は盟友及び世界のパートナーとの連携を強化し、地域の安全と安定確保に努めるとし、どんな脅威や脅迫も世界へ向かって歩みを進める台湾の決意を揺るがすことはできない、などと語った。蔡総統はまた、台湾が強靭性と勇気をもって中国の脅威に立ち向かう中で、台湾と近い理念を持つ国々とのパートナーシップは最も効果的な抑止力となりうるとした上で、「台湾の人々は民主主義こそが永久且つ唯一の道であるとことをよく知っている。手を携えて一致団結することで、お互いに強くなることができると信じている」と述べた。
また、頼副総統は、(5月20日の)総統就任後は「国家希望工程」(希望のための国家プロジェクト)を推進し、「民主的で平和な台湾」、「イノベーティブで繁栄した台湾」、「公正で持続可能な台湾」を作るために尽力し、そして引き続き世界の民主価値を守っていくことを約束した。頼総統はまた、今後は「自衛力と非対称戦力の強化」、「経済の安全保障とサプライチェーンの改善」、「民主国家とのパートナーシップ確立の継続」、「台湾海峡両岸関係における安定且つ原則に基づいたリーダーシップの確立」という「平和のための4つの支柱」を原則として、地域の平和と安定を守っていくと伝えた。
頼副総統は、自由主義の世界が権威国家の拡張に屈するべきではなく、自身の自由や民主主義、経済や強靭性を強化すべきだと強調。同時に、互いにメリットがある協力によって住民の福祉を増進し、次世代のために平和で自由、繁栄した民主主義の世界を残さなければならないと訴えた。
なお、この「コペンハーゲン民主サミット」では、「対中政策に関する列国議会連盟(Inter-Parliamentary Alliance on China, IPAC)」が最新版「オペレーションMIST(Operation “Measure the Impact of a Shock in the Taiwan Strait”)」動画を公開。中華民国(台湾)外交部の呉釗燮部長(外相)のビデオメッセージが新たに加えられたもので、IPACが今年7月、台湾で年次総会を開催すること、世界各地の国会議員が台湾を訪れて総会に参加することなどを明らかにした。「対中政策に関する列国議会連盟」はイギリス保守党のイアン・ダンカン・スミス(Ian Duncan Smith)元党首が発起。イギリス、米国、カナダ、オーストラリア、ドイツ、日本、ノルウェー、スウェーデンの8カ国と欧州議会によって2020年6月4日に設立された。対中政策で一致した立場をとるよう協調し、自由民主や人権などの共通の価値、ならびにルールに基づく国際秩序の維持に取り組んでいる。
IPACはまた、「コペンハーゲン民主サミット」の主催機関AoDとともに、「自由世界は台湾の民主主義を支持することを約束する」と題する共同声明を発表し、各国政府に対して台湾が封鎖された場合、世界経済が受ける影響について分析を行い、自由世界の各国に対して中国を抑止するために貢献し、台湾と経済、政治、文化などの各方面で関係を強化するよう呼びかけた。
なお、今年の「コペンハーゲン民主サミット」では、台湾からほかに数位発展部の唐鳳(オードリー・タン)部長(デジタル大臣)もビデオ演説を行った。