2025/07/01

Taiwan Today

外交

蔡英文総統、退任前に英BBCの取材に応じる

2024/05/20
蔡英文総統(写真 20日に退任)が先ごろ英BBCによるインタビューに応じ、台湾海峡の情勢、台米関係、ロシア・ウクライナ戦争の台湾に対する影響などについて質問に答えた。(総統府サイトより)
蔡英文総統(20日に退任)が先ごろイギリスのBBCによるインタビューに応じたことが明らかになった。蔡総統はこの中で、女性の政界進出、婚姻の平等、台湾における感染症対策、台湾海峡の情勢、台米関係、ロシア・ウクライナ戦争の台湾に対する影響、世界のサプライチェーン、8年間の総統任期における実績などについて質問に答えた。
 
BBCによる質問(以下、「」):習近平氏の指導の下、中国の台湾に対する脅威は高まっていると思うか。蔡総統と民主主義の世界には習近平氏の野心を心配する理由があるか。
 
蔡総統の回答(以下、):習近平氏には台湾に関する自らの計画があるかもしれないが、そうした計画が完全に確定しているとは思わない。世界も中国も情勢は変化している。とりわけ2022年のロシア・ウクライナ戦争勃発から世界情勢は非常に異なるものになった。
 
:馬英九前総統が中国との協力や対話を目指したのと異なり、蔡総統が任期内にとった政策の多くは台湾の防衛力を高めるものだった。武器購入予算を倍増し、GDPの約2%だった国防予算を約2.5%に引き上げた。多くの人が台湾の国防予算はGDPの3%以上であるべきだとしてはいるが。
 
:台湾の軍事力の向上は台湾が自ら投資を強めただけでなく、各国の協力があったからだ。特に米国の協力による。
 
:蔡総統の軍事戦略は現実的でなく、さらには危険だとする批判もある。中国の軍事力が台湾の数倍であることを考慮すれば、台湾が自分の力で中国を阻止することを期待するのは難しい。
 
:台湾の戦略の重点は、相手が台湾を侵略し、台湾を奪い取るためのコストを出来る限り高めることだ。この目標を達成するため台湾は軍事力を強化し続けるほか、地域の友好国と協力して集団的抑止力を整える。台湾を奪い取るのに重大な代償が必要になれば、中国の指導者層はその代価を払えるかどうかを慎重に判断せねばならなくなる。
 
:「台湾は国交を樹立している国が極めて少ない」、「台湾はいかなる正式な軍事同盟にも加わっていない。その上過去8年、とりわけここ4年間、台湾が向き合う情勢はますます危険度を増している」とする意見がある。
 
:無論台湾はいかなる軍事衝突もしくは侵略の可能性も排除できない。しかし、地域内の各方が集団となって努力することは中国に対する圧力になっている。中国は軍事的な圧力のみならず、経済的な圧力にも直面している。戦争は中国に経済面でダメージを与え、中国経済の発展を数年、さらには数十年後退させるだろう。このため中国の指導者は、「台湾を手に入れること、あるいは経済と社会を引き続き発展させること。一体どちらが重要か」と考えることになろう。
 
:米国のバイデン大統領は公の場で何度か、「台湾が軍事的に攻撃された場合は米国が介入する」と述べたが、米国務省はそうした発言後、米国の対台湾政策は変わっていないと「釈明」している。一部の人はバイデン大統領が公の場でこうした発言をすることに同意しない。米国が長年続けてきた「あいまい戦略」から外れ、かえって台湾をより危険な状況にすると考えるからだ。
 
:「あいまい戦略」は今も存在すると思う。米国政府は対外的なメッセージをかなり慎重に取り扱っている。
 
:台湾の人々の多数は台湾海峡の現状維持を望んでいる。蔡総統にとって「現状」とは何か。
 
:台湾は台湾のことを自ら決めていること、自らの政治体系とガバナンスのシステムを有すること、自らの憲法と法律を持ち、自らの軍隊を有すること。全ての人がこれに同意するだろう。台湾には国を構成する全ての要件がそろっている。ただ外交面で十分な承認が得られていない。中国は当然、「台湾は中国の一部だ」と言うだろう。台湾が現段階で何を代表しているのかについては、人民によって解釈されるべきだ。最も重要なことはやはり台湾が台湾のことを自ら決めること。民主主義の政体であることだ。台湾は自由と民主主義、進歩的な価値を享受しており、それを誇りに感じている。
 
 

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