総統・副総統の就任を祝うために海外からやってきた国賓をもてなす公式晩餐会「国宴」が20日、台湾南部・台南市で開催された。総統就任を祝う「国宴」が台南市で開催されるのは初めてのこと。台南市は今年、1624年のオランダ東インド会社の台南上陸とゼーランディア城の建築から400年の節目を迎える。頼清徳総統は「国宴」の挨拶で、台南での開催を決めた理由について、ゼーランディア城建築400年の節目であることと同時に、新政権が目標に掲げる「都市と地方のバランスの取れた建設」を実践するためと語った。
20日夜、台南市で行われた「国宴」の司会は総統府の郭雅慧報道官と、台湾とブラジルにルーツを持つ男性モデル、戴凱文さんの2人が務めた。頼清徳総統と総統夫人の呉玫如さん、蕭美琴副総統は午後6時33分に会場入りした。
頼総統はまず、「国宴」のために台南に集まった国交樹立国の国家元首やその他の国々の来賓、駐台使節及び代表らに謝意を示した。頼総統は、今回の就任式典には海外から500人余りの来賓が参列したこと、これらの来賓たちが台湾に持ち込んだのは祝福の気持ちだけでなく、台湾の人々に対する揺るぎない友情や、台湾社会を支える力でもあると述べた。また、国内外の来賓がともに台南で開催される「国宴」に出席し、台湾の民主主義の一大イベントに彩りを加えたことに感謝した。
頼総統はまた、国賓らが台湾高速鉄道で台北から台南まで移動したことを踏まえ、車窓から見える景色や都市の景観の変化などから、台湾が持つ文化や景観の多様性を理解できただろうとした上で、今回台南を「国宴」開催の場所に選んだ理由について、新政権が掲げる「(都市と地方の)バランスの取れた台湾」という目標を実践し、台湾のあらゆる場所を安心して暮らし、楽しく働けるところにするためだと説明した。
頼総統はまた、「台湾高速鉄道が台南駅に差し掛かったとき、南部科学園区(サイエンスパーク)が見えたと思うが、ここにはまさに台湾の半導体大手、台湾積体電路製造(TSMC)の工場がある。また台南駅の近くには「沙崙智慧緑能科学城(沙崙スマートグリーンエネルギーサイエンスシティ)」があるが、ここは将来、台湾のグリーン・エネルギー産業発展において重要な拠点の一つとなるところだ」などと説明した。
頼総統はさらに、台南市には至るところに文化財があり、どこにいっても美味しい食べ物にありつけるが、このような特色は何も台南に限るわけではなく、台湾全土22県・市の至るところにこうした精神があふれており、機会があればぜひ台湾のさまざまな都市に足を運んでみて欲しいと呼びかけた。
なお、この日の「国宴」では、台湾にある22の県と市を代表する食材を用いた8つの料理が振舞われた。どの食材も台湾のさまざまなエスニシティの存在を念頭に入れて調理され、料理を通して台湾が持つ多様なエスニシティ文化が表現された。