第77回WHO(世界保健機関)年次総会(WHA)が6月1日に閉会した。オブザーバー参加を目指す台湾の訴えや取り組みに対する国際社会の支持は過去最大規模に達した。中華民国(台湾)と外交関係を結ぶ12か国のうち、WHO加盟国である11か国の代表はいずれもWHO年次総会において台湾支持の発言を行った。台湾と近い理念を持つ米国、日本、英国、カナダ、豪州、フランス、ドイツ、チェコ、リトアニア、ニュージーランド、エストニア、ルクセンブルク、ラトビア、イスラエル、オランダ、ベルギーなど16か国の代表も台湾支持の発言を行った。そのうちニュージーランドの代表は初めて明確に台湾に言及し、オランダの代表も初めて「誰一人取り残すべきではない」という発言で、間接的に台湾への支持を表明した。ベルギーの代表はEU(欧州連合)の輪番制議長国として発言を行い、世界のいかなる人、いかなる地域も取り残されるべきではないと訴えた。中国及びそれに追随する国々が、国連第2758号決議及びWHA第25.1号決議を故意に曲解して台湾の排除を正当化しようとしたことに対しては、米国、セントクリストファー・ネービス、セントビンセント及びグレナディーン諸島、ツバル、ベリーズなどが厳正な抗議を行った。中華民国(台湾)外交部は、こうした国々の台湾に対する友好的な発言を受けて「心から感謝する」とするコメントを発表している。
その他の国々の支持
このほか、主要7か国(G7)外相会合や英豪「外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)」が共同声明で、また日本の外務省は「外交青書2024」で、ドイツ政府は国会に提出した「台湾のWHO参加」についての報告で、オランダ政府は国会に提出した「今年度のWHOの参加及び立場に関する報告」において、米国のアントニー・ブリンケン国務長官、日本の林芳正官房長官、ベルギーのアジャ・ラビブ外相、オランダのブラウンス・スロット外相、スウェーデンのトビアス・ビルストロム外相、フランスのフランク・リステール欧州・外務大臣付貿易・誘致担当大臣などの高官が、台湾のWHO/WHA参加を支持すると公言するなど、それぞれ台湾のWHO/WHA参加を支持すると明確に示した。台湾と近い理念を持つ国々が台湾に設置する代表機関も4年連続で台湾支持の立場を示す声明を発表しており、今年は米国、日本、豪州、英国、カナダ、ドイツ、チェコ、リトアニアの8か国が署名に加わり、共同でプレスリリースを発表した。ほかに、米国、チェコ、ルクセンブルク、オランダ、セントクリストファー・ネービス、マーシャル諸島、グアテマラ等の国会(立法府)や欧州議会、それに世界各地の親台湾派議連「フォルモサクラブ」に参加する議員など、延べ4,000人以上の議員がWHOに対して台湾の参加を受け入れるよう呼びかけた。
世衛行動団によるロビー活動
衛生福利部の邱泰源部長(保健相)が率いる「世衛行動団」(WHO年次総会に合わせてジュネーブ入りし、台湾のWHO参加を訴えてロビー活動を行う代表団)はジュネーブ滞在期間中、積極的に各国の代表団や専門家組織などと交流を図った。衛生福利部と財団法人国際合作発展基金会(TaiwanICDF)はそれぞれパンデミック、口腔衛生、ホリスティック・ヘルスケア、医療・公衆衛生援助等の議題について複数のシンポジウムを開催し、大きな反響を呼んだ。
議員視察団による国会外交
立法院(国会)の江啓臣副院長(=副議長)と陳菁徽氏、王正旭氏、林憶君氏の3人の立法委員(国会議員)からなる議員視察団も積極的にさまざまな活動に参加し、国会外交を展開。具体的行動によって、与野党一丸となって台湾のWHO年次総会参加を訴えるというわが国の強い民意を国際社会に伝え、国際社会から支持を取り付けるために協力した。
外交部のプロモーション動画
外交部は今年のWHO年次総会向けにプロモーション動画『第二の故郷(My Second Home)』を制作した。この動画の再生回数は全世界で合計2,696万回を超えた。海外メディアが掲載した衛生福利部長や在外公館による寄稿文、それに各国の学者・専門家による台湾に友好的な論評、コラム、関連の報道などは世界で373本に達した。外交部及び在外公館のSNS(フェイスブック、インスタグラム、Threads、X)による関連の投稿、リポストなどは合計2,772本に達し、インプレッション総数は延べ2,199万に達した。ナンシー・ペロシ米元下院議長、ベン・カーディン上院外交委員会委員長、ジム・リッシュ上院外交委員会共和党筆頭委員などがさまざまなSNSを使い、「#TaiwanCanHelp」、「#LetTaiwanHelp」、「#TaiwanDelivers」、「#CountTaiwanIn」などのハッシュタグを付けた投稿を行い、台湾支持の立場を示した。
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こうした事実を踏まえて外交部は1日にニュースリリースを発表し、今年のWHO年次総会参加を目指す中華民国政府の取り組みは、例年以上に前向きの成果が得られ、WHO/WHAへの参加を目指す台湾の正当性をより際立たせることができたとの見方を示した。また、台湾が各国と連携して、第77回WHO年次総会がテーマに掲げた『All for Health, Health for All』の目標を一日も早く実現させるため積極的に取り組む能力も意欲もあることを訴え、WHO事務局が台湾を支持する国際社会の「正義の声」を無視することなく、専門且つ中立の原則に基づき、次回以降は能動的に台湾をオブザーバーの身分でWHO年次総会に招待し、台湾が完全な形でWHO関連の会議、メカニズム、イベントに参加できるようにしてほしいと伝えた。