詐欺やマネーロンダリングなどの越境犯罪が増加する中、国の安全保障や営業秘密に関わる問題への関心が近年高まっている。台湾と海外諸国との刑事共助業務が増える中、これらの国々と有効な意思疎通のパイプを確立し、国際協力の効率を引き上げるため、法務部国際及両岸法律司は6月4日と6日に、米国、カナダ、エストニア、ドイツ、欧州司法機構(EUROJUST)の検察官、弁護士、コーディネーターなどを台湾に招き、国の安全保障、営業秘密、人口知能(AI)、資産返還などを話し合う国際シンポジウムを開催した。
そのうち今月4日に台湾高等検察署博愛講堂で行われた北部座談会は、法務部国際及両岸法律司が主催し、最高検察署の協力を受けて開催したもの。テーマは国の安全保障で、法務部の黄世杰政務次長(=副大臣)が開会の挨拶を行い、邢泰釗検察総長がモデレーターを務めた。米国、エストニア、台湾の検察当局の関係者、それに台湾高等検察署智慧財産文署検察官、台北地方検察署主任検察官、法務部調査局資通安全処副処長などを招き、産業スパイ、偽情報、ディープフェイクが国の安全保障や選挙に与える影響について話し合い、法制面と実務面から交流を深めた。この座談会では、各組織の検察官のほか、米連邦捜査局(FBI)の駐台連絡官、米国土安全捜査局(HSI)の連絡官や、台湾の行政院国土安全弁公室、国防部政治作戦局、憲兵指揮部、調査局、廉政署、内政部警政署刑事警察局などが派遣する職員が交流に参加した。
今月6日には南投県(台湾中部)で、法務部国際及両岸法律司が主催する台湾、欧州、米国、カナダの刑事共助に関するシンポジウムが開催された。法務部の徐錫祥政務次長(=副大臣)が開会の挨拶を行い、南投地方検察署の元冠検察長、最高検察署調弁事の蔡秋明主任検察官が各セッションのモデレーターを務めた。アメリカやカナダの司法省、ドイツのツェレやエストニアの検察庁関係者、ドイツの弁護士、台湾の法務部国際及両岸法律司の副司長、国立清華大学の林勤富教授、宜蘭地方検察署の主任検察官などが、刑事共助や営業秘密、人口知能(AI)、資産返還などの議題について踏み込んだ交流と議論を交わした。徐政務次長は冒頭の挨拶で、今回のシンポジウムの議論を通して、欧州連合(EU)加盟国が承認したAI法案など海外の事例を参考にし、台湾における関連の規定をより完全なものにしたいと期待を寄せた。