中華民国(台湾)外交部とシンクタンクの財団法人両岸交流遠景基金会が主催する「ケタガランフォーラム:2024インド太平洋安全保障対話(Ketagalan Forum: 2024 Indo-Pacific Security Dialogue)」が21日、台北市内のホテルで開かれた。会場には約200人が集まり、ライブ配信の視聴者は3,000人近くに達した。
このフォーラムでは頼清徳総統が開会の言葉を述べたほか、日本の首相経験者で野党・立憲民主党最高顧問である野田佳彦衆院議員、スロバキアのエドゥアルド・ヘゲル元首相、米国のニッキー・ヘイリー元国連大使がそれぞれ基調講演を行った。3つのセッションでは、それぞれの地域の政治家や学者などを招き、台湾海峡、南シナ海、東シナ海でのグレーゾーン衝突、経済的強靭性の構築とデリスキング、台湾の半導体産業が世界のサプライチェーン安定のために果たす役割、デジタル権威主義がいかにして偽情報散布により民主主義に影響を与えようとしているか―などの議題について議論を展開した。
頼総統は開会のあいさつで、権威主義の拡張はますます侵略性を有するようになり、すでに世界的脅威となっていると指摘。台湾が第一列島線に位置することを踏まえ、頼政権は「平和のための4つの支柱アクションプラン」、つまり(1)台湾の自衛力の強化、(2)経済安全保障の構築、(3)その他の民主国家との連携強化、(4)安定かつ原則に基づいた対中国関係のための指導力強化―を積極的に推進することによって台湾海峡の平和と安定を維持していることを説明した。頼総統はまた、台湾は世界の民主主義、平和、繁栄の発展を促進するための重要なパワーになる決意をもっており、民主諸国が一致団結し、一緒になって「民主主義の保護の傘」を開いて、共有する価値観をともに守っていきたいと心から願っていると訴えた。
また、基調講演を行った日本の野田元首相は、台湾と日本の交流は活発であり、日本は引き続き台湾がオブザーバーの身分で世界保健機関(WHO)に参加できるよう支持するとともに、台湾の環太平洋パートナーシップ(TPP)加盟申請についても歓迎していると述べた。さらに、台湾海峡の平和と安定はすでに世界の共通認識であり、力または威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに断固反対するとして、平和的方法による紛争解決の重要性を強調した。
今年の「ケタガラン・フォーラム」は「台湾海峡の安全保障(Security in the Taiwan Strait)」、「経済安全保障と経済的威圧(Economic security and economic coercion)」、「デジタル民主主義の実践と課題(The practice and challenges of digital democracy)」の3つのセッションが設けられ、世界11か国から招かれた15名の政治家、学者・専門家らがパネリストとして参加し、専門的かつ建設的な観点や提言を提示した。