外交部の林佳龍部長(外相)は米東部時間10月16日、米ワシントンに拠点を置くシンクタンクGlobal Taiwan Institute(GTI)の年次総会で、あらかじめ収録していたビデオを公開する方法で基調講演を行った。林部長は、権威主義諸国の勢力拡大が国際秩序に極めて深刻な影響を与えている現状を訴えた上で、米国が「格子構造」(Latticework)のネットワークを構築して同盟・友好国同士の結び付きを深めていることを評価し、「台湾は国際社会における必要不可欠な一員として、『総合外交』を推進しながら、米国と共同で各方面の挑戦に対処していきたい」と述べた。
林部長はまた、中国が台湾への軍事的威圧を強めていることを指摘。法律、世論、認知の「3つの戦略」を駆使して台湾への攻勢を強め、意図的なグレーゾーン事態を作り出すことで、台湾海峡の「ニューノーマル」を作り出そうとしているとし、これが地域及び台湾海峡の平和と安定に著しく影響していると述べた。林部長はまた、米国が台湾の安全保障に対して強いコミットメントを示していること、近年「対外軍事融資(FMF)」や「大統領在庫引き出し権限(PDA)」などを活用して台湾を支援していることに感謝。一方で台湾も国防予算の増強や、社会全体の防衛強靭化、防衛戦力の強化などに努めていると説明した。
林部長は続けて、繁栄を基礎とした経済・貿易外交は台湾の外交部が推進する「総合外交」の核心であり、台湾はこれからも台米経済繁栄パートナーシップ対話(EPPD)のプラットフォームを通して、サプライチェーンの強靭性を強化し、重要な分野での連携を深めていきたいと述べた。また、「1+1=3」の理念に基づき、台米が第三国の発展を助け、グローバル協力訓練枠組み(GCTF)を通して各国と協力し、世界規模の問題や挑戦に対応することで、「固邦」(国交樹立国をつなぎとめるという従来の外交政策)から「栄邦」(国交樹立国を繁栄させるという新たな外交政策)への転換を実現させていきたいと訴えた。林部長はさらに「台湾は世界を必要とし、世界もまた台湾を必要としている」と訴え、これからも米国、盟友、パートナー諸国と緊密に連携し、「総合外交」の理念を徹底しながら国際社会との付き合いを広げていくことを約束した。
Global Taiwan Institute(GTI)は米ワシントンに拠点を置く、台湾を研究の核心とする初めてのシンクタンク。今年の年次総会のテーマは「台米関係:世界的混乱の時代における鉄壁のパートナーシップ」(US-Taiwan Relations: An Ironclad Partnership in a Period of Global Disruption)に、台米の国防や安全保障分野での協力、米国の大統領選挙の情勢、それに中国のグレーゾーン事態の脅威や地政学的な安全保障問題などに焦点を当てて議論した。