オランダ議会第二院(下院)が11月26日、自由民主国民党(VVD)外務スポークスマンのEric van der Burg議員が中心となって提出した台湾に友好的な動議を可決し、同国政府に対してドイツのモデルを参考にして台湾との司法共助協定締結を検討するよう呼びかけた。中華民国(台湾)外交部(日本の外務省に相当)は29日、「心から歓迎し、感謝する」とのコメントを発表した。
この動議では、ドイツと台湾が刑事司法共助協定を締結していることは両国による法執行面での協力促進、ならびにマネーロンダリングとネット犯罪など国際犯罪の摘発を助けると指摘。その上で、オランダと台湾間には同様の仕組みがなく、決定的な証拠を互いに提供できない状況をつくり出しているとして、オランダ政府が台湾との司法共助協定締結を検討するよう促した。
今年10月、台湾はドイツとの刑事司法共助協定を通じてスペイン国籍の指名手配被疑者をドイツに引き渡した。この被疑者はドイツと欧州連合(EU)加盟国による議論と対応の決定を経て調査と審理を受けることになる。外交部は、「我が国は今後オランダ政府と司法共助について建設的な対話を進め、国際犯罪の摘発に貢献したいと願っている」とコメントした。
一方、イギリス議会庶民院(下院)は11月28日、「International Status of Taiwan(台湾の国際的地位)」に関する動議を異議なし採決で可決、国連総会第2758号決議は中華人民共和国の台湾に対する主権を確立したものではなく、国連における台湾の地位にも触れていないと指摘した。
これを受けたイギリス外務開発省のキャサリン・ウェスト(Catherine West)閣外大臣(アジア太平洋担当)は政府を代表する形で、「イギリスは、国連総会第2758号決議は中華人民共和国が国連において中国を代表することを決定したにすぎず、台湾の地位を決めたものではないと考えている。このため同決議は国連などの国際体系に対する台湾の有意義な参与を認めない理由として引用されるべきではない。イギリスは同決議を拡大解釈して歴史を改ざんしようとするいかなる試みにも反対する。それは台湾の人々、イギリスそして全世界の利益に合致しない」とコメントした。
外交部は、「イギリス議会はこの動議を可決して台湾への力強い支持をしっかりと示した」と評価。また、「イギリス政府はウェスト閣外大臣の発言を通して初めて国連総会第2758号決議に対する立場を公式に表明したのであり、我が国が重要な国際協力や議論のメカニズムから排除されていることは誤りであることを際立たせた。中国による同決議の曲解を阻止しようと我が国が取り組む中、今回のことは重要なマイルストーンだ」として、高く評価すると共に「心からの謝意」を示した。