中華民国台湾と正式な外交関係を持つマーシャル諸島、ツバル、パラオ共和国など太平洋の島しょ国を訪問する外遊の往路で米ハワイに立ち寄った頼清徳総統は、ハワイ滞在2日目となる現地時間1日午後(台湾時間2日午前)、ハワイのシンクタンク「イースト・ウエスト・センター」(以下、EWC)で行われた政策座談会に出席した。
この政策座談会は非公開で行われた。頼総統はまず、EWCのスザンヌ・バレス・ラム所長の手配に感謝し、EWCが長期にわたり米国とアジア太平洋地域の人々の相互理解を促進したり、台湾と共同で「太平洋島国青年リーダー育成計画」(PILP)を実施して太平洋地域の未来を担う若手指導者200人以上を育成してきたことは、インド太平洋地域の平和・安定・繁栄をともに促進しようという決意を示すものだとして特に謝意を伝えた。頼総統はまた、米国が長期にわたり「台湾関係法」や「6つの保証」に基づき台湾へのコミットメントを続け、台米の協力パートナーシップの強化に努めていることにも感謝。このほか、「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」の第1段階協定が承認されたことは、新たな協力の機会を切り開くと同時に、経済的威圧、サプライチェーン(供給網)の強靭化、二重課税といった問題への対応にもつながるものだと歓迎した。
頼総統は政策座談会で、「共栄の未来:インド太平洋地域の平和と繁栄のパートナーとしての台湾」と題して英語で講演を行った。頼総統はこの講演で、インド太平洋地域及び全世界で、台湾が以下の「3つの積極的な行動」をとっていることを強調した。
1.
台湾は「平和のための4つの支柱アクションプラン」を積極的に実践
4つの支柱とは自己防衛の強化、経済安全保障の強化、民主主義諸国との連携の深化、対話・交流の促進を指す。台湾は国防の強化に力を入れ、社会全体の防衛の強靭性を高めている。また、総統府に任務型委員会の「全社会防衛靭性委員会」を設置した。近年台米双方の協力は、台湾の自身の安全保障に対するコミットメントと、台米両国のインド太平洋地域の平和に対する共同のコミットメントを反映するものだ。
2.
台湾は世界のサプライチェーンに寄与できるよう積極的に取り組む
台湾は世界のサプライチェーン、とりわけ半導体などのハイテク産業のサプライチェーンに寄与できるよう積極的に取り組んでいる。台米のパートナー関係はこうした産業を強化するのみならず、台湾が信頼に足る、頼れるパートナーであるという戦略的な重要性も示している。台湾はまた、近い理念を持つ国々との連携を積極的に図り、台湾自身が持つ専門的な知識を十分に活用し、世界の発展に貢献しようとしている。
3.
台湾は積極的に台湾海峡及びインド太平洋地域の平和・安定・繁栄の確保に取り組む
これまでのように公衆衛生、農業・牧畜・水産、気候転換等の分野で、透明な協力を展開して約束を履行し、中華民国台湾と外交関係を持つ太平洋の島しょ国との緊密な友好関係を促進し、「スマート化」、「民主主義」、「友好関係」の持続可能性(サステナビリティ)という目標を達成する。それと同時に、これからも自己防衛能力の強化に努め、近い理念を持つ国々と緊密に連携し、「実力によって平和をもたらす」という共通理念を守り、自由、民主主義、法の支配といった普遍的価値を維持する。