蕭美琴副総統はこのほど、リトアニア公共放送局(Lithuanian National Radio and Television, LRT)の単独インタビューを受け、台湾海峡両岸関係や、リトアニアと台湾の関係などについて語った。以下はインタビューの概要。
台湾とリトアニアの関係は?
台湾とリトアニアには多くの共通点がある。いずれも複雑な歴史を持ち、過去に自由と民主主義のために奮闘してきた経験がある。ロシアによるウクライナ侵攻後の現在の状況から見て取れるように、中国、ロシア、北朝鮮などの覇権国家が連携を強めつつある。台湾とリトアニアのように、過去に権威主義による威圧や脅迫を受け、且つ民主主義の最前線に位置する国々は一致団結し、民主主義を守っていかなければならない。
なぜ台湾による対リトアニア投資が重要なのか?
台湾は小さい国だが、自身の大きさ以上の影響力を発揮できるよう努力し、科学技術の発展や技術革新(イノベーション)などで重要な役割を果たしたいと願っている。台湾は非常に強大な科学技術産業を確立し、人工知能(AI)の発展に欠かせない先端半導体チップを供給している。リトアニアにも多くの強みがある。例えばレーザー産業、バイオ産業、フィンテックなどであり、これらは台湾が学ぶに値すると考えている。台湾は、リトアニアとの経済協力を通して、両国が一致して経済力を強化し、そして覇権国家への依存を減らしたいと考えている。
台湾がリトアニアに代表機関を設置したことに対する中国の反応
台湾にとって国際参与は容易なことではない。大多数の国にとって、国際組織に加盟し、諸外国と外交関係を結ぶのはごく自然なことだ。しかし、台湾はそのために極めて大きな努力が必要で、なかなか前進することができない。中国は台湾を排除、孤立、抑圧すると同時に、台湾とともに立つ国々も威圧している。このため台湾は、リトアニアの人々が勇気をもって民主主義を死守していることに非常に感謝している。
台湾がリトアニアに代表機関を設置したことは、台湾とリトアニアがともに民主主義、平和、自由の価値を共有していることの証(あかし)である。また、双方の民間企業及び産業連携の促進にも役に立つことだ。例えばリトアニアは安全保障上の必要性から、無人機産業の発展を願っている。台湾も民間企業が持つ力や技術を活用して、防衛力を強化したいと考えている。
台湾はリトアニアでの大使館設置を目指しているのか?
世界各国に大使館を設置することは、外交上の困難と格闘する台湾にとって一貫した願いではあるが、残念なことに現在中華民国(台湾)と外交関係を持つ国は12か国しかない。中華人民共和国によって繰り返される威圧と威嚇が、国際社会における台湾の活動を制限しているからだ。
こうした不公平な状況の中、国連総会第2758号決議(いわゆるアルバニア決議)が曲解されていることに理解を示す国が増えていることに台湾は感謝している。例えばオランダ、英国、カナダなどの国会や欧州議会は決議の採択を通して、台湾が国際組織に有意義な参加を果たすことの重要性を訴えている。また、これらの国々は国連総会第2758号決議が誤った解釈をされていることにより、台湾がその他の国々と正式な関係を持つことに対して、不公平な障害となっていることを強調している。
中国の威圧を受ける中、台湾の雰囲気は?
台湾の人々は平和を愛しており、いかなる人との間にも衝突が発生することを望まない。しかし、ロシアのウクライナ侵攻は、平和が決して当然のものではないことを人々に気づかせてくれた。台湾は自己防衛を強化し、社会の強靭性をより強化しなければならない。多くの欧米諸国が、社会全体の防衛計画を発展させ、従来の軍事力だけでなく、より強靭性を持った民間防衛の強化に力を入れている。実力を伴う強靭性や自己防衛能力を強化することで、衝突の発生を回避しなければならない。
台湾の人々は軍を信頼している?
さまざまな偽情報や政治的干渉に直面しながらも、台湾の政府は人々の軍に対する信頼を確立するために努力している。一部の覇権国家は偽情報の拡散により、台湾の内政干渉や社会の分裂、それに国民の政府や軍、総統に対する信頼を破壊しようと企てている。これらは偽情報による攻撃の一部で、覇権国家の常套手段である。これは台湾だけでなく、世界全土に拡大しているものである。