2025/06/25

Taiwan Today

外交

外交部の呉政務次長、イタリア最大日刊紙の取材に「自由で民主的な台湾維持の重要性」強調

2025/02/03
イタリア日刊紙、Corriere Della Seraのマッシモ・フランコ氏(写真右)からインタビューを受けた呉志中政務次長(同左)。呉政務次長は台湾が自由主義・民主主義陣営に存在するからこそ、世界は安全だと語った。(中華民国外交部ニュースサイトより)
外交部(日本の外務省に相当)の呉志中政務次長(副大臣)は1月3日、イタリアを代表する日刊紙、「Corriere Della Sera」の編集委員で、ジャーナリスト・作家でもあるマッシモ・フランコ氏によるインタビューを受けた。その内容が1月26日の同紙で、「台湾は1938年のヒトラー支配下にあったプラハのようだ」と題して大々的に報道され、イタリアをはじめ欧州各界から大きな注目を集めた。以下はインタビュー要旨。
 
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台湾が中国に降伏しなければ戦争を回避できないというのは正しくない。台湾が自由主義・民主主義陣営に存在するからこそ、世界は安全だ。台湾の現在の状況は、1938年のチェコスロバキアのようだ。当時のチェコスロバキアは欧州で5番目、世界でも10番目以内に入る工業大国だった。ナチス・ドイツは、ミュンヘン協定によってチェコスロバキアの工業資源を手に入れ、同協定によって増長したヒトラーは戦争に踏み切った。中国の台湾に対する策略も全く同じで、中国政府は台湾のハイテク産業、特に世界の先端半導体の90%の生産拠点を掌握することを意図しているだけでなく、国際情勢を変え、それに対する戦略を遂行しようとしている。
 
中国政府は2012年、「『太平洋』は米国と中国の両大国を受け入れるのに十分な広さがある」とし、その10年後には、「『世界』は米国と中国の両大国を受け入れられるほど広大だ」と言い直した。これは中国の野心を証明する発言だ。同時に、中国は日本に対して、釣魚台列島(日本名:尖閣諸島)の主権を主張している。南シナ海に軍事施設を配備し、漁船や軍艦を派遣してフィリピンと対立し続け、インドとは国境(チベットのアルナーチャル・プラデーシュ州)を巡っての紛争が続けている。中国政府はさらに、英国と締結した香港の高度な自治権を50年間保証する「中英共同宣言」に違反し、香港の民主主義と法の支配を著しく損なった。「台湾は香港ではないし、香港のようになることを望んでいない」と明言したい。
 
台湾の現状や国際社会における立場を一言で形容するなら、ラテン語で「独特」という意味を持つ言葉、「sui generis」がぴったりだ。台湾は、正式な外交関係を樹立する国がわずか12カ国しかないが、世界の100か国以上と実質的な関係を維持している。正式な外交関係がなくても、台湾はこれらの国々と政治、経済、貿易などの分野で緊密な交流があり、産業面での強みを生かして世界との繋がりを強化している。世界最大の半導体ファウンドリー、台湾積体電路製造(TSMC)はその技術と生産能力で世界をリードしていることからも、「台湾が侵略されるようなことがあれば、世界中の工場は数週間以内で閉鎖される」ことが明らかだ。
 
習近平氏が毎朝目覚めたときに、「今日は台湾を侵攻する良い時期ではない」と考えるよう期待している。これは、中国の脅威を過小評価しているのではなく、最悪の事態に備えているということ。第一に軍事防衛力の強化を継続する。台湾は、過去8年で防衛予算が80%増加、軍事費の支出が政府予算全体の20%を占めた。台湾には現在、約18万人の兵士がおり、これはドイツ軍の規模に匹敵する。第二に、民主的で自由な世界からの支持を強化する。最近では、米国、オーストラリア、日本、ドイツ、フランス、オランダ、英国、イタリアなど民主主義諸国はいずれも、台湾海峡における軍事力を誇示し、中国に対して慎重に行動すべきというシグナルを送っている。第三に、台湾海峡の安全を単に地域の問題として片付けるのではなく、世界の問題とすること。台湾は、米トランプ大統領が語る「米国を再び偉大に」するために重要な役割を担っている。台湾の友人であるマルコ・ルビオ上院議員が国務長官に起用され、台湾に駐在する米国当局者の数は、日本の米国大使館と同数で、米国にとっての台湾の総合的な戦略の重要性を象徴している。
 
バチカンは世俗国家とは異なり、高い道徳基準を持つカトリック教徒の総本山で、その核心的価値は思想と信教の自由を守ることにある。台湾とバチカンは80年以上にわたる外交関係を保っており、価値観と長期的な協力関係を基盤としている。1950年代、台湾は中国からプロテスタントとカトリックの聖職者を迎え入れ、バチカンによる中国への継続的な福音宣教を支援した。台湾は今後もローマ教皇庁と緊密な関係を維持していく。
 
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「Corriere Della Sera」は、イタリアで最も影響力のある日刊紙で、特に欧州の政治経済問題に高い関心を示している。マッシモ・フランコ氏は、同紙のジャーナリストとして、中国が国際秩序に与える影響について繰り返し分析し、関連するインタビュー記事が世論で関心を集め、重要視されている。

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