2025/02/23

Taiwan Today

外交

外交部の呉志中政務次長、仏ビジネス誌の取材で民主主義守る決意を語る

2025/02/20
仏ビジネス誌Challengesのインタビューに答える呉志中政務次長。たとえ台湾の防衛予算が、立法院で削減・凍結されたとしても、台湾の民主体制を守ろうとする市民の強い決意は変わらないと述べた。(中華民国外交部ニュースサイトより)
外交部(日本の外務省に相当)の呉志中政務次長(副大臣)は1月22日、フランスの週刊ビジネス誌「Challenges」の記者、Régis Soubrouillard氏によるインタビューに応じた。その内容の全文が14日、「トランプ大統領、北京と欧州:台湾は外交戦略をどう調整するか」と題した記事として公開された。インタビューの要旨は以下の通り。
 
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台湾は、多くの国と正式な外交関係を結んでいないものの、各国との実務関係を積極的に拡大し、友好関係を築き、「公式運営」モデルを確立している。実務を重んじるパートナーシップは、必ずしも外交上の承認を伴うものではなく、イノベーション、貿易、技術協力、民主的価値観などの共通の利益に基づくものだ。
 
今後の台米関係について、米国は台湾の国際社会における主要支持国で、台湾に対する武器売却、ハイレベル交流、経済貿易協力を継続していくだろう。米国は、台湾をより広範な戦略的枠組みに組み込み、インド太平洋地域が中国の野望によって脅かされることがないよう努めている。台湾はまた、特に半導体分野における台米のサプライチェーンに関連する問題の議論にも参加している。
 
台湾は、米国がインド太平洋地域においてリーダーシップを維持し、台湾海峡の緊張がさらに高まるのを防げるよう望んでいる。トランプ米大統領は、同盟国に防衛予算の増額を求めており、台湾はすでにそれを実行している。ウクライナやイスラエルとは異なり、台湾は米国から武器を購入しているが、直接的な財政支援は受けていない。たとえ台湾の防衛予算が、立法院(国会)で削減・凍結されたとしても、台湾の民主体制を守ろうとする市民の強い決意は変わらない。政府は引き続き市民と国会の支持を求め、中国の軍事的脅威に対処するための防衛力を強化していく。
 
台湾海峡での軍事衝突の可能性について、台湾は、軍事、外交、経済、メディアなど中国の多方面に渡る深刻な脅威に直面し、抑止力とレジリエンスの強化に重点を置いて、あらゆる事態に備えている。中国による台湾侵攻は大きな代価を払うもので、台湾海峡での紛争は、世界経済にも大きな影響をおよぼすに違いない。
 
中国政府の脅威に対し、台湾の対応は「Not Today Policy」を用いる。これは、中国に台湾を侵略する時期は「今日ではない」と思わせる政策で、国防の強化、友好国との協力強化、国際社会からの支持確保が3本の柱となっている。台湾の軍事費は、過去8年間で80%増加し、義務兵役の期間は1年に延長されたが、これらはすべて台湾が自衛の責任を負う決意を示すものだ。民主主義国家が台湾への支持を強化することも重要で、近年、世界の主要国は台湾海峡へ定期的に軍艦を派遣し、台湾への支持を表明している。理念を同じくする国々も台湾の国際組織への実質的参加に対する支持を強めている。
 
台湾とEU関係の展望について、EUは中国への経済依存がもたらすリスクを意識しており、そのため中国に対してより厳しい姿勢を取り、台湾への支持をより明確にしている。中国からの圧力にもかかわらず、リトアニア、チェコ、スロバキアなどは、台湾との関係強化を公表している。半導体産業は台湾の戦略的資産で、世界の半導体製品の60%以上、最先端製品の90%近くを台湾が生産している。欧州が半導体サプライチェーンの確保を模索する中、台湾も欧州への投資を増やし、ドイツ、チェコ、リトアニア、フランスとの交渉を続けている。台湾の技術を欧州のエコシステムに導入すると共に、台湾と欧州の共通の安全保障を強化する用意がある。台湾とフランスは、半導体、AI(人工知能)、エネルギーの高度化などの分野で積極的に交流と協力を強化している。
 
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Challengesは、フランスの著名な経済・ビジネス雑誌。フランス語圏のビジネスリーダー、企業の経営者、投資家にとって必読の雑誌との呼び声が高い。同誌の記事は、政府、企業、専門家によって頻繁に引用され、世論に大きな影響力を持つ。

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